ホテルチェーン大手のヒルトン・ワールドワイド(以下、ヒルトン)は5月12日、事業における環境負荷の削減に向けて3年間に渡り世界自然保護基金(以下、WWF)と提携する発表した。今後、WWFはヒルトンの正式な環境パートナーとして同社の事業をグローバルに支援する。また、ホテル業界の大手であるヒルトンとの協働は、WWFにとってもホテル業界におけるサステナビリティ慣行を推進する上で大きな一歩となる。
世界中に施設を持つヒルトンはこれまでにも多くのプロジェクトを通じて廃棄物削減や水資源の保護に取り組んできたが、今回のWWFとの協働によりさらにその取り組みを進化させる予定だ。具体的な協働内容としては下記が挙げられる。
- 業界をリードする長期的な水スチュワードシップ戦略の開発
- 持続可能なシーフード調達の取り組みをグローバルに拡大
- 自社事業およびサプライチェーンの食糧廃棄削減による、廃棄物対策プログラムRePurposeを更に推進
- 全ての知見をヒルトン独自の環境成果測定・報告プラットフォームのLightStayに統合し、全ての系列ホテルにアクセスを提供
- Corporate Renewable Energy Buyers Principles(再生可能エネルギー購入原則)に基づき、再生可能エネルギー導入を推進
約10年間に渡り、ヒルトンとWWFはアジア太平洋シーフードウィークやアース・アワーなど様々なプロジェクトで協働を行ってきた。特に2007年にシドニーのヒルトンで開催されたWWFの会合で生まれた「アース・アワー(同じ日の同じ時刻に電気を消すアクションを通じて地球環境保護を訴えるイベント)」は、今や世界約150ヵ国の人々が参加する一大グローバルイベントとなっている。
ヒルトンは2014年に持続可能なシーフード調達方針に基づきグループ所有施設におけるフカヒレの提供を禁止したほか、最近ではヒルトン・シンガポールがアジアにおけるホテルでは初となるMSC(Marine Stewardship Council)認証、ASC(Aquaculture Stewardship Council)認証を取得するなど、環境保護・サステナビリティ活動に積極的に取り組んでいる。また、同社はホテル業界で初めて環境報告を実施した企業の一つでもあり、ISO 9001、14001、50001認証も取得するなど、環境・エネルギー管理への取り組みでも業界をリードしている。
ヒルトンのCR担当副社長を務めるJennifer Silberman氏は「WWFとの協働により我々の事業を分析、モニタリング可能となるだけではなく、実用的で拡大可能なインパクトあるソリューションの開発も可能になる。我々はそのソリューションを環境に好影響をもたらすホテル事業運営およびゲストの体験に統合することができる」と語った。
サステナビリティへの取り組みで業界をリードするヒルトンが、WWFとの提携により更に大きな一歩を踏み出すことになった。かつては贅沢、ラグジュアリーというイメージが先行していたホテル業界でも、今やサステナビリティがゲストのホスピタリティを支える共通言語となりつつある。
【参照リリース】Hilton Worldwide and WWF Collaborate to Strengthen Sustainability in the Hospitality Industry
【企業サイト】Hilton Worldwide
【団体サイト】WWF
(※写真提供:Venturelli Luca / Shutterstock.com)
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