商品やサービスの購入を通じて環境や社会問題の解決・改善に貢献する、いわゆる「エシカル消費」を推進している英国NPOのエシカル・コンシューマーが、英国の最新エシカル消費市場動向についてまとめた2015年度の年次報告書、"】UK Ethical Market - Annual Report 2015"を発行した。
同報告書はエシカル・コンシューマーが1999年から英国内の幅広い消費セクターのエシカル消費動向を収集・分析しているものだ。最新の報告書によると、2014年のエシカル消費市場は厳しい経済環境下にありながらも継続して成長しており、インフレ率が0.5%をわずかに上回る状況においても、エシカル消費市場は2013年の350億ポンドから2014年の380億ポンドへと8%成長を実現した。
前年比で大きく躍進し、この成長を牽引したのは電気自動車やハイブリッド車などの自動車で、前年比40%増となる70億ポンドの成長を果たした。また、太陽光パネルの販売も約25%増となる7億1600万ポンドまで伸長したが、金額としては自動車の10%程度にとどまっている。
なお、これらのエシカル消費に、環境・社会に配慮された形で投資・運用されているエシカルマネーと合わせた全体の市場規模は2013年の780億ポンドから800億ポンドへと20億ポンド増額した。その他、各主要セクターの主なエシカル消費動向は下記の通り。
食料・飲料
エシカル食品・飲料の売上は約1%の増加で、インフレ率が約0.5%であることを加味すると増加率は小さくなっている。2014年で際立った点としては、MSC(海洋管理協議会)が推進する持続可能な漁業認証のMSC認証を受けた魚類の売上が12%増加した点が挙げられる。また、放し飼いによって飼育された家禽の鶏肉が8%、卵が2%の伸びとなった。
反対に、紅茶、砂糖、チョコレートなどを購入することで開発途上国の生産者をサポートする「フェアトレード認証製品」は、20年来の歴史の中で初めて減少に転じ、4%のマイナスとなった。理由としては、フェアトレード認証製品の最大の支援者であるスーパーマーケットの「Co-op」と「Sainsbury」の売上が減少し、フェアトレード製品の扱いが比較的少ない「Aldi」や「Lidl」が売上を伸ばしている点や、森林保護や生物多様性の保護を目的とする「レインフォレスト・アライアンス認証」の売上が4%増加し、同認証と競合している可能性が挙げられている。
住宅関連製品
FIT(Feed-in Tariff:再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度)の価格が毎年下がり続けているにも関わらず、太陽光発電パネルは価格低下の影響もあり販売が伸び、前年比25
25%増となった。また、エネルギー効率の高い省エネ電球は13%、家電製品は7%の増加となっている。
交通
電気自動車、ハイブリッド車など、CO2排出量(g/km)が100以下の車両クラスAに属する乗用車の売れ行きが突出しており、2013年度の50億ポンドから70億ポンドへと40%増加した。また、サステナブルな素材や製造方法によって生産された自転車は9%の伸びを示している。
金融商品
投資は9%、クレジットユニオン(信用組合)が7%増加している。しかし貯蓄は7%の減少となっており、この原因としては2013年にコーポラティブ銀行が破綻の危機に陥り、同銀行の口座の解約や預金の引き出しが大きく影響していると推測される。
【レポートダウンロード】UK Ethical Market-Annual Report 2015 download
【参照サイト】UK Ethical Market-Annual Report
【団体サイト】Ethical Consumer
【参考サイト】「イギリスの電力市場改革と日本の再エネ政策への示唆」 東京大学 山口光恒 2014 年環境経済政策学会発表論文 2014年7月28日
【参考サイト】「欧米諸国の自動車関連税制」今西芳一、芝原理之、国際交通安全学会誌 Vol. 38, No.3 2014年2月
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