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【EU】欧州司法裁判所、たばこパッケージ規制のEU指令を適法と判断。たばこメーカー敗訴 2016/06/03 最新ニュース

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 EU法規制の司法機関機能を司る欧州司法裁判所は5月4日、世界大手たばこメーカー複数社が、たばこパッケージの65%以上にタバコの健康被害を表示することを義務付けたEU指令および英国法が不当であるとしていた裁判で、EU指令の違法性はないとの判決を下した。EU法の最高司法機関である欧州司法裁判所の判決が確定したことで、EU圏内におけるたばこパッケージには引き続きタバコの健康被害の警告が全面的に表示されることとなった。

 今回の裁判の発端は、欧州議会が2014年に2月、世界一厳格なたばこ規制を定めたEU指令(2014/40/EU)を承認したことに遡る。このEU指令では、たばこパッケージの両面の65%以上にたばこが70以上の発がん物質を含むという健康被害を表示すること、フレーバー付きたばこの販売を禁止すること(メントールは2020年まで猶予)、電子たばこ用カートリッジのニコチン含有量を20mg/ml以下に制限することなどを定めており、今年5月20日発効することが定められていた。これが施行されると、たばこパッケージからはロゴ、模様、色合いなどが一切消え、指定のフォント、指定の大きさ、指定の場所にブランド名を記載することのみが許され、替わりに健康被害を謳う文言だけが大きく表示される。このように、シンプルなデザインとなるパッケージは英語圏では「プレイン・たばこ・パッケージング」と呼ばれており、プレイン・たばこ・パッケージング以外のたばこは2017年1月からフランスで、同5月からは英国とアイルランドで販売が禁止される国内法が制定されている。

 この事態に対して大手たばこメーカーは販売減少を恐れて法的手段に出た。米フィリップモリスと英ブリティッシュ・アメリカン・タバコは、知的財産権の侵害という理由でEU指令の無効を求めて英国で訴訟を起こした。また、JTインターナショナル(日本たばこ産業)もフランスで訴訟を起こした。イングランド・ウェールズ高等法院(女王座部)は、判決にあたりEU指令の解釈が必要だと判断、欧州司法裁判所にEU指令の解釈を付託していた。そのため、今回の裁判の原告は、米フィリップモリスと英ブリティッシュ・アメリカン・タバコであったが、参加・関係人として、英インペリアル・タバコ、JTインターナショナル、英ギャラハー、さらにはドイツの製紙メーカーなども裁判に加わっていた。その一方で、ポーランド政府も、メンソールたばこの販売規制を不服とし、ルーマニア政府の支持も取り付けて、同様に欧州裁判所に訴訟を起こしていた。今回の判決は、これら合計3件に渡る訴訟に関して、欧州司法裁判所がまとめて同指令の解釈を示すものと位置づけられた。

 欧州司法裁判所は今回の判決に際し、人体の健康保護の観点、さらには2005年発効の「たばこの規制に関する世界保健機関(WHO)枠組条約」におけるEU諸国の義務の観点を理由として述べている。特にポーランドが反対していたメントールたばこの販売禁止については、EU指令の目的がタバコによる健康被害の削減にあるとし、メントールたばこやフレーバーたばこは消費者にとってより魅力的なものとなってしまうため、販売禁止措置は妥当だと判断した。ポーランド政府は、メントールたばこ購入の年齢規制、国外への取引禁止、通常タバコと同様に有害であることをパッケージに表示するなどの代替手段を通じて国内での販売を認めるよう訴えていたが、完全に退けられた形だ。

同裁判所は、電子たばこについては、従来たばこと同様の製品ではなく、独自の規制を設けることは可能としつつも、電子たばこも有害であるという事実は変わらず、政府当局が健康被害防止というEU指令の目的に何らかの規制を欠けることは妥当だと結論づけた。

 5月4日の欧州司法裁判所判決を受け、英国のイングランド・ウェールズ高等法院は5月19日、米フィリップモリスと英ブリティッシュ・アメリカン・タバコの訴えを公式に棄却。5月20日には、予定通りEU加盟国全てでEU指令が発効した。

 欧州司法裁判所がたばこの有害性を強く認める判決を下したことの意味は大きい。「プレイン・たばこ・パッケージング」はEUだけでなく、すでにオーストラリアでも導入が決まっており、さらに同様の措置を検討している国は少なくない。たばこ産業にとっては今後さらに向かい風の市場環境となる。日本市場にもこの動きが波及してくるかもしれない。

【参照ページ】The new EU directive on tobacco products is valid

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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