Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【国際】不動産市場の情報開示度、欧米諸国が最先端。環境情報開示では日本も最高クラスの評価

real-estate

 総合不動産サービス世界大手のジョーンズラングラサール(JLL)は9月28日、「2016年 世界不動産透明度インデックス(Global Real Estate Tranparency Index 2016)」を発表した。このインデックスは、JLLが世界109ヶ国の商業不動産市場について、データ利用可能性、ガバナンス、取引プロセス、所有権、法規制環境などの観点から不動産市場の成熟度を評価したもの。報告書の発表は隔年で行っており今年で9回目。また、この報告書の中では、サステナビリティ観点での情報開示度レベルに特化した国別ランキング「不動産環境サステナビリティ透明度インデックス(Real Estate Environmental Sustainability Transparency Index)」の発表も行っており、こちらのランキング発表は今年で3回目。

 「世界不動産透明度インデックス」の上位ランクは、アングロ・サクソン系国と欧州先進国が独占した。

  1. 英国
  2. オーストラリア
  3. カナダ
  4. 米国
  5. フランス
  6. ニュージーランド
  7. オランダ
  8. アイルランド
  9. ドイツ
  10. フィンランド

 
 日本は前回より7つ順位を上げ19位。アジアの国々では、シンガポール11位、香港15位が日本を上回った。その他、台湾が23位、韓国40位。

 報告書は、上位ランクをアングロ・サクソン系国と欧州先進国が独占している背景として、不動産市場分野への機関投資家の投資が増えていることを上げている。従来、機関投資家は株式や不動産への投資が一般的であったが、欧米では不動産も重要なアセットクラスとして位置づけられ始めている。そのため、投資家が不動産市場の情報開示に積極的に働きかけているという。上位ランクの国では、不動産物件ごとの所有権情報やパフォーマンス情報が非常に細かい粒度で頻繁に公開する制度が整ってきている。実際、世界の不動産投資市場の75%は、トップ10の国々に集中している。また、報告書は、今年世界中の耳目を集めた「パナマ文書」の影響も挙げ、不動産の所有名義人だけでなく、不動産投資から利益を得る実際の受益者まで特定する情報開示が求められてきていることに言及。例えば、英国では受益者の情報開示を義務化する法律の検討が進んでいるという。報告書は、透明度の向上は、全体の傾向として、外国からの直接的な投資や法人入居者による活動と関連していると分析。透明度を向上することで、国内への海外からの投資を活性化し、経済成長も図ることができるとした。
 
 一方、「不動産環境サステナビリティ透明度インデックス」では、日本は非常に高い評価を得た。こちらのランキングは、2015年における世界の直接的商業不動産投資の97%に当たる37ヶ国を対象とし、最高ランクの「非常に透明」の評価を得たのは、フランス(世界トップ)、英国、オーストラリア、日本の4ヶ国。日本は前回はひとつ下の「透明」ランクだったが、今回は昨年の「非常に透明」ランクだったフランス、英国、オーストラリアに並んだ。また、今年の「透明」ランク国は、カナダ、オランダ、ニュージーランド、オーストリア、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イタリア、シンガポール、スペイン、スウェーデン、米国、ベルギー、チェコ、香港、スイスの16ヶ国。一方、最低の「非常に不透明」ランクだったのは、メキシコ、マレーシア、台湾、トルコの4ヶ国。

 「不動産環境サステナビリティ透明度インデックス」では評価されるのは全部で7項目。

  • 二酸化炭素排出量の報告
  • エネルギー消費量のベンチマーク
  • グリーンビルディングの財務パフォーマンス指標
  • グリーンビルディング認証制度
  • グリーンリース条項
  • 既存建築物の最低エネルギー基準
  • 新規建築物の最低エネルギー基準

 日本は、国土交通省が2013年10月に「非住宅建築物に係る省エネルギー性能の表示のための評価ガイドライン(2013)」を制定し、このガイドラインに基づき第三者機関が非住宅建築物の省エネルギー性能の評価及び表示を適確に実施することを目的とした「建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)」が開始したことや、同じく国土交通省が今年2月、ビルオーナーとテナントが協働し、不動産の省エネなどの環境負荷の低減や執務環境の改善について契約や覚書等によって自主的に取り決め、その取り決め内容を実践する「グリーンリース」の普及のために「グリーンリース・ガイド」を発表したことが高く評価された。また、2010年から東京都が始めたキャップ・アンド・トレード型の二酸化炭素排出量取引制度も好印象を与えた。

 報告書では、不動産分野の環境サステナビリティの最重要課題は、新規建築物への最低エネルギー基準とグリーンビルディング認証制度だと分析。現在世界の87%の国では基準設定が義務付けられており、65%の国ではグリーンビルディング認証が始まっているという。また、グリーンビルディングの普及のためにはグリーンビルディングの財務パフォーマンスの開示も重要だが、現在グリーンビルディングのパフォーマンス開示が制度化されいているのは、分析対象の37カ国のうちフランス、カナダ、ニュージーランド、オーストラリアの4ヶ国のみだった。法規制分野以外の自主的な取組としては、GRESB(グローバル不動産サステナビリティ・ベンチマーク)の成果を強調した。

【参照ページ】France, Japan and Dubai show leadership in JLL’s 2016 Environmental Sustainability Real Estate Transparency Index
【報告書】Global Real Estate Tranparency Index 2016

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。