【インド】政府、今後10年間の国家電力計画案を公表。石炭火力発電の新設をゼロに 2016/12/31 最新ニュース

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 インド電力省中央電力庁(Central Electricity Authority)は12月中旬、第12次5ヵ年計画期(2012年4月~2017年3月)の同国の電力状況を振り返るとともに、第13次5ヵ年計画期(2017年4月~2022年3月)および第14次5ヵ年計画期(2022年4月~2023年3月)のこの先10年の電力政策案を示した文書「Draft National Electricity Plan(Volume 1)Generation」を公表した。今後10年間の間に石炭火力発電の新設をゼロとする内容が含まれており、大きな注目を呼んでいる。

 インドでは2003年の電力法(Electricity Act)に基づき、中央電力庁が5年単位で「国家電力計画」を策定している。今回公表された「国家電力計画案」はパブリックコメントを一定期間受け付け、その後中央政府による承認審議に移る。承認後は、公式の「国家電力計画」となり、これに基づき各電力事業者、送電事業者が事業を展開していくこととなる。今回は、2003年電力法制定後3回目となる「国家電力計画」だが、電力の長期需給を見通していくため、次期第13次5ヵ年計画期(2017年4月~2022年3月)の計画だけでなく、第14次5ヵ年計画期(2022年4月~2023年3月)の展望の内容が盛り込まれた。

 インドの2015年時の発電電力構成は、石炭76%、天然ガス4%、原子力3%、水力12%、再生可能エネルギー6%。再生可能エネルギーではそのうち半分を風力発電が占めている。また、発電設備容量の構成比では、石炭61%、天然ガス8%、原子力2%、水力14%、再生可能エネルギー14%。このようにインドは現状石炭に大きく依存している。これを、今回発表の「国家電力計画案」では、非化石燃料(原子力、水力、再生可能エネルギー)設備容量の割合を現在の30%から、2022年までに46.8%、2027年までに56.5%に大幅に増加させる。

 非化石燃料の中でも設備容量を大きく増強するのが再生可能エネルギーだ。「国家電力計画案」では、2022年までの設備容量増加計画として、再生可能エネルギー115.3GW、水力15.3GW、原子力2.8GWとしており、再生可能エネルギーの増加分は原子力の40倍以上。さらに石炭依存を下げるため天然ガス発電の設備容量も2022年までに4.3GW増やす。インドでは今後経済発展に伴い電力需要も大きく増加していくと予測されているが、これら設備容量の増強により需要増分は賄えるため、2022年までに石炭火力発電の新設は不要とした。

 また2027年までの設備容量増加計画では、再生可能エネルギー100GW、水力12GW、原子力4.8GWとし、この時期でも再生可能エネルギーは原子力の20倍の増加となる。また同時期には電力需要の伸びにより、石炭火力設備容量44GWが不足し増強が必要となるが、すでに建設着工中の石炭火力設備容量50GWが2022年までに完成する見込みのため、やはり2027年までに石炭火力発電の新設は不要だとした。

 しかし既存およびすでに建設着工中の石炭火力発電所は稼働させていく。現行の第12次5ヵ年計画期(2012年4月~2017年3月)には、石炭86.3GW、褐炭1.3GW、天然ガス6GW、水力5.5GW、原子力2.5GW、再生可能エネルギー17.9GWの設備容量を増加させており、石炭・褐炭の増加分が大半を占めた。この新規石炭・褐炭火力発電のうち39%が超臨界圧石炭火力発電、日本の政官財が推進しているいわゆる「高効率石炭火力発電」だった。インドは気候変動などにより今後モンスーンによる水力発電効率が30%低下すると見立てており、この低下分を既存の石炭火力発電の稼働率を上げ補う。

 今後の設備容量増加分を大きく担う再生可能エネルギーの今後の資金需要は、2022年までで約10兆インド・ルピア(約18兆円)以上。2027年まででさらに約6兆インド・ルピア(約10兆円)以上が必要と見積もっている。この金額に含まれていない電力系統接続や2028年以降の設備容量増加に向けた設備投資なども加えると資金需要はさらに増えていくとみられている。一方、現時点での再生可能エネルギー、水力、原子力ともに投下資金不足もあり設備容量の伸びが思うように進んでいないことから、脱石炭に舵を切れるかに懐疑的な見方もある。

 パリ協定以降、二酸化炭素排出量削減の動きが新興国にも広がりを見せている。新興国2大大国であり世界人口大国のうち、中国はすでに脱石炭の動きを鮮明にし、今回インドでも脱石炭の計画案が表明されたことで、さらに石炭火力は世界的に縮小していきそうだ。

【参考】【中国】国務院、温室効果ガス削減アクションプランを発令。石炭消費量を大幅抑制

【報告書】Draft National Electricity Plan(Volume 1)Generation

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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