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【日本】水産庁、今期から太平洋クロマグロの漁獲上限値制度を開始。警報が続々発令

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 水産庁が太平洋クロマグロ小型魚の漁獲制限を進めている。12月16日に日本海西部ブロックに操業自粛要請、1月17日に太平洋南部・瀬戸内海ブロックにも操業自粛要請が発令された。また、1月5日には太平洋北部ブロックに対し警報を発出、1月17日に九州西部ブロックも注意報が発令された。水産庁は、日本市場で流通している主力まぐろであるクロマグロを保護するため、2015年度より30kg未満の小型魚の漁獲制限制度を開始している。今年度が2期目で、今期からは地域ブロック単位の漁獲上限値制度が開始された。操業自粛要請や警報が発令された地域では、都道府県や現地の漁協がクロマグロ小型魚の漁獲を減少させなければならない。

 世界的にまぐろ資源は枯渇してきている。食品資源としてのまぐろは、主に太平洋クロマグロ、大西洋クロマグロ、ミナミマグロの3種が主力だが、そのうち大西洋クロマグロとミナミマグロは、国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定するレッドリストに入っている。日本で流通しているマグロは、太平洋クロマグロが6割、大西洋クロマグロが4割と言われているが、この主力の太平洋クロマグロも2014年についに国際自然保護連合により絶滅危惧II類(Vulnerable)に指定された。そのため、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は、太平洋クロマグロの資源回復を図るため、30kg未満小型魚の漁獲量を2002年から2004年の平均水準から半減させることで合意。WCPFCの加盟国である日本も、2015年1月から30kg未満の小型魚を国際合意と同じく2002年から2004年までの年平均漁獲実績から半減し、さらに30キログラム以上の大型魚について2002年から2004年の年平均漁獲実績を超えないように管理する措置を実施している。

【参考】持続可能な漁業と水産資源管理 〜日本の食卓から魚はなくなるのか?〜(2015年8月4日)

 この水産庁の太平洋マグロ資源管理措置においては、沿岸漁業、近海竿釣り漁業、大中型まき網漁業の3漁法それぞれに対して小型魚の漁獲上限量を定めている。管理期間は7月1日から翌年6月30日まで(日本海北部ブロックのみ4月1日から翌年3月31日まで)を年度とし、沿岸漁業の上限値は1,901t、大中型まき網漁業は2,000t、近海竿釣り漁業は106tと設定されている。さらに漁業事業者の多い沿岸漁業については、全国を6ブロックに分け、ブロック別に上限値が設けられている。

  • 太平洋北部ブロック:北海道、青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県
  • 太平洋南部ブロック:千葉県、東京都、神奈川県、静岡県、愛知県、三重県、和歌山県、徳島県、高知県、愛媛県、大分県、宮崎県
  • 日本海北部ブロック:北海道、青森県、秋田県、山形県、新潟県、富山県、石川県
  • 日本海西部ブロック:福井県、京都府、兵庫県、鳥取県、島根県
  • 瀬戸内海ブロック:和歌山県、大阪府、兵庫県、岡山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、大分県
  • 九州西部ブロック:山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、鹿児島県、沖縄県

 各ブロックにおいて、上限値に対し70%を超過すると注意報、80%を超過すると警報、90%を超過すると特別警報、95%を超過すると操業自粛要請が発令される。上限値を超えた場合は、翌年の上限値がその分引き下げられる。現在6ブロックのうち、3ブロックで操業自粛要請、1ブロックで警報、1ブロックで注意報が発令されており、今期の漁獲量はすでに上限値に達してきている。一方、ブロック共同管理の定置網枠と日本海北部ブロックはまだ余裕がある。

 日本近海のまぐろ漁の時期は、9月から年明け1月頃までに行われ、冬場がピークとなる。まぐろ漁においては、釣り上げてから重量測定をすることが一般的。そのため小型魚だけを除く漁法は確立されていない。小型魚の漁業規制を行うということは、まぐろ漁全体に大きな影響を与える。クロマグロの資源枯渇化は、徐々に日本の食卓や外食産業にも影響を与えていきそうだ。

【参照ページ】太平洋クロマグロ小型魚の漁獲に係る太平洋南部・瀬戸内海ブロックへの操業自粛要請の発出について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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