豪投資銀行大手マッコーリー・グループは8月18日、英国政府系銀行のグリーン投資銀行(GIB)の買収を完了したと発表した。グリーン投資銀行は、英国政府が再生可能エネルギーへの投資促進を目的として2012年12月に設置した銀行。マッコーリー・グループは今年4月20日、グリーン投資銀行の株主である英国政府から同銀行を買収したと発表していた。買収額は23億ポンド(約3,220億円)。英国政府は今回の売却により、1.86億ポンド(約260億円)の利益を得た。
【参考】【イギリス】豪マッコーリー、英国政府系再エネ投資銀行「グリーン投資銀行」を23億ポンドで買収(2017年5月6日)
マッコーリー・グループは、国際的に「銀行(Bank)」の名称を使うことによる制限があるとして、企業名称を「グリーン投資銀行」から「グリーン投資グループ(Green Investment Group)」に変更した。マッコーリー・グループは、グリーン投資グループを、同社の英国での再生可能エネルギー投資の中心拠点としていく方針で、英国以外にも投資を行っていく。
マッコーリー・グループへの買収後も、ロンドンとエジンバラに置かれていたグリーン投資銀行のオフィスや従業員は基本的に維持されるが、管理部門など一部の重複部門は削減対象となるという。
また、グリーン投資グループは、英ビジネス・エネルギー・産業戦略省との連携を継続していく。英ビジネス・エネルギー・産業戦略省は、グリーン投資銀行の完全子会社である英国グリーン投資気候インターナショナル(UK Green Investment Climate International)との合弁で、発展途上国の再生可能エネルギー開発を推進する英国気候投資(UK Climate Investments)を設立していたが、この合弁企業は今後も継続されることとなった。
グリーン投資銀行売却で懸念されていた環境金融機能の減衰については、予定通り特別株主として「Green Purposes Company」が設置され、同社の理事5名が選任された。グリーン投資グループは、Green Purposes Companyの決議なしに、再生可能エネルギーや省エネ分野に事業を限定しているグリーン投資グループの約款を変更することができない。Green Purposes Companyの理事は、英国政府が任命する指名委員会3名によって指名される仕組みになっている。同時に、グリーン投資グループは、環境へのパフォーマンスを記載した年次報告書を作成し、ステークホルダー向けの報告会を毎年開催することにもなった。第1回は2017年末までに開催される。
英国政府は、今回の売却について、政府系金融機関としての制約から解放されることにより、グリーン投資グループの投資規模はますます拡大していくだろうと大きな期待を寄せている。マッコーリー・グループは4月、今後3年間に渡って再生可能エネルギー分野に30億ポンド(約4,400億円)を投資していく計画を発表しており、この日も改めてこの計画の実施を再確認した。
グリーン投資グループのCEOには、グリーン投資銀行に2012年に入社し、直近では同行投資銀行部門長であったEdward Northamが就任する。グリーン投資銀行のCEOだったShaun Kingsbury氏は辞任し、マッコーリー・グループにも加わらない。今後は、マッコリーグループの投資部門、マッコーリー・キャピタルと足並みを揃え、事業展開をしていく。
【参照ページ】Macquarie-led consortium completes acquisition of the Green Investment Bank
【参照ページ】Green Purposes Company and the announcement of sale of the Green Investment Bank
【参照ページ】UK government’s sale of Green Investment Bank completed