今年10月から日本でのグリーンボンド発行が相次いでいる。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)が10月11日に5億ユーロのグリーンボンドを発行。続いてみずほフィナンシャルグループ(MHFG)が10月16日に同じく5億ユーロのグリーンボンドを発行した。財務大臣100%出資の日本政策投資銀行(DBJ)も10月18日、環境だけでなく社会分野をも対象とする「サステナビリティボンド」を10億ユーロ発行。また、戸田建設は、事業会社が本業プロジェクトを対象に発行する日本初のグリーンボンド100億円の起債を12月頃に予定していると発表した。東京都と鉄道建設・運輸施設整備支援機構(鉄道・運輸機構)もグリーンボンド発行を表明しており、急速に日本のグリーンボンド発行市場が盛り上がってきた。
発行体 | 発行日 | 償還期間 | 発行通貨 | 発行額 | 表面利回り |
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SMFG | 2017/10/11 | 7年 | ユーロ | 5億ユーロ | 0.934% |
MHFG | 2017/10/16 | 7年 | ユーロ | 5億ユーロ | 0.956% |
DBJ | 2017/10/18 | 5年 | ユーロ | 10億ユーロ | 2.500% |
東京都 | 2017/10/31 | 5年 | 円 | 100億円 | 0.200% |
東京都 | 2017/10/31 | 30年 | 円 | 50億円 | 0.982% |
東京都 | 2017/12/30 | 5年 | 豪ドル | 100億円 | 未定 |
戸田建設 | 2017/12 | 5年 | 円 | 100億円 | 未定 |
鉄道・運輸機構 | 2017/11 | 10年 | 円 | 200億円 | 0.230% |
鉄道・運輸機構 | 2018/2 | 20年 | 円 | 245億円 | 未定 |
グリーンボンドの使途は、SMFG、MHFG、DBJの金融機関は再生可能エネルギーや省エネルギー分野への投融資がメイン。DBJはそれに加え、グリーンビルディング、交通、環境優良企業への投融資も使途とする。DBJは、2014年に初のグリーンボンドを、翌2015年からはサステナビリティボンドを発行しており、毎年グリーンボンド等の発行体としては日本唯一。しかし発行はいずれも外国通貨建てで、DBJは「投資家の多様性を向上するため」と説明している。一方、戸田建設は全額を浮体式洋上風力発電所の建設費用に充てる。建設場所は五島列島の長崎県五島市。戸田建設は2007年から浮体式洋上風力発電の研究を開始し、2010年には環境省の実証事業にも採択。2016年4月には2MW基が運転開始している。
発行体 | 発行額 | 資金使途 | 主幹事 | セカンドオピニオン |
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SMFG | 5億ユーロ | 再エネ・省エネ投融資 | メリルリンチ、クレディ・アグリコル、SMBC日興証券 | サステイナリティクス |
MHFG | 5億ユーロ | グリーンプロジェクト融資 | 未公開 | サステイナリティクス |
DBJ | 10億ユーロ | グリーンビルディング、再エネ、交通、環境優良企業への投融資 | JPモルガン、シティグループ、ダイワ・キャピタル・マーケッツ、クレディ・アグリコル | サステイナリティクス |
東京都 | 100億円 | 環境施設等 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券 | oekom research |
東京都 | 50億円 | 環境施設等 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券 | oekom research |
東京都 | 100億円(豪ドル) | 環境施設等 | みずほ証券、大和証券、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、SMBC日興証券 | oekom research |
戸田建設 | 100億円 | 浮体式洋上風力 | 三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | サステイナリティクス |
鉄道・運輸機構 | 200億円 | 鉄道路線 | みずほ証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、野村證券、大和証券 | イーアンドイーソリューションズ、サステイナリティクス、日本格付研究所(JCR)(*注1) |
鉄道・運輸機構 | 245億円 | 鉄道路線 | 未定 | 未定(*注2) |
グリーンボンドの発行主幹事と言えば、日本の中では比較的取り組みが早かった大和証券のイメージが強かったが、今は三菱UFJモルガン・スタンレー証券、みずほ証券、SMBC日興証券、野村證券も同様に主幹事実績を有し、国内大手はグリーンボンド発行部門を強化してきていることがわかる。一方、セカンドオピニオンは、2016年に東京に支社を立ち上げたオランダ・サステイナリティクス(Sustainalytics)が強い。東京都の案件を取った独oekom researchも存在感を示した。グリーンボンド発行ガイドラインでは、国際資本市場協会(ICMA)のグリーンボンド原則(GBP)の活用が、日本でも定着してきた。
*注1:同債券発行については、正式にはイーアンドイーソリューションズ、サステイナリティクスと日本格付研究所は「セカンドオピニオン」提供ではなく、「環境省のガイドラインへの適合確認」を実施。また委託者は鉄道・運輸機構ではなく環境省。
*注2:同債券発行については、セカンドオピニオン提供は「未定」に訂正。
【参照ページ】三井住友フィナンシャルグループ】グリーンボンド発行について(1/2)
【参照ページ】グリーンボンド発行の決定について
【参照ページ】第3回DBJサステナビリティボンドの発行について
【参照ページ】「戸田建設グリーンボンド」(発行予定)に関するお知らせ
【参考】【日本】東京都、初のグリーンボンド発行。5年債100億円、30年債50億円、豪ドル建100億円(2017年10月27日)
【参考】【金融】鉄道・運輸機構のグリーンボンド、環境省の発行モデル事例第1号に採択(2017年10月24日)
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