中南米24ヶ国政府は3月4日、法的拘束力を持つ環境活動権保護条約「LAC P10」を採択した。同条約は、命の危険にさらされる環境保護活動家の保護、水質汚染や鉱山開発権等に関する環境情報への人々のアクセスの向上、生活に影響する環境の意思決定過程への市民参加の機会拡大等を目指すもの。「環境と開発に関するリオ宣言」の第10原則(環境民主主義の原則)を達成に向け、政府の責務を規定した。
同条約の加盟国は、ベネズエラ、キューバ、ニカラグア、ベリーズ等を除くほぼ全ての中南米諸国。
同条約は、中南米10ヶ国政府がリオ宣言第10原則の適用を2012年6月に宣言したときから協議を開始。条約案は、国連の下部組織、国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が策定。同宣言に参加する国数は2016年4月には21ヶ国に達し、気運が高まっていた。今回、約6年の交渉を得てようやく署名に至った。世界資源研究所(WRI)も、環境NGOの保護を目的とした「アクセス・イニシアチブ(TAI)」の事務局を務め、条約制定を後押ししていた。
人々の環境権を確保する動きは中南米では特に求められている。2017年の環境活動で殺害された人数は世界全体で200人。そのうち60%が中南米に集中している。同条約は、チリ、コスタリカ、パナマの政府が主導。健康的な環境を享受する権利も保護し、条約で規定されたルールを順守するための監督、報告のための当局を設置することも求めている。今後、各政府の署名、批准手続へと進む。
【参照ページ】STATEMENT: New Agreement Marks Historic Step Forward for Environmental Justice in Latin America and the Caribbean
【参照ページ】The Public’s Views on the Impact of Ground-breaking Environmental Rights Agreement for Latin America and the Caribbean
【機関サイト】LAC P10
【条約】LAC P10
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