パナソニックの社内カンパニーの一つ、パナソニックオートモーティブ&インダストリアルシステムズ(AIS)社の田村憲司上席副社長は5月30日、投資家向け説明会の中で、現在電気自動車(EV)の車載電池の原料に使用しているコバルトを将来ゼロにする考えを表明した。コバルトは近年価格高騰しており、生産現場での人権侵害への懸念も高まっている鉱物。
コバルトは、以前は価格が安定していたが、電気自動車市場の急拡大が予見される2017年頃から高騰し、今年には以前の3倍ほどの値が付いている。また、世界のコバルト採掘の約半分は、紛争の多いコンゴ民主共和国で生産されている点もリスク要因。国際人権NGOアムネスティ・インターナショナルは2017年11月、コンゴ民主共和国でのコバルト採掘で児童労働や危険有害労働が関与している状況をまとめたレポート「Time to Recharge」を公表した。紛争鉱物分野の国際的取組を牽引している責任あるビジネス同盟(RBA、旧EICC)の「責任ある鉱物イニシアチブ(RMI、旧CFSI)」も、昨年からコバルトのサプライチェーンを対象にしたイニシアチブを発足させた。
コバルトは車載電池で一般的に用いられるリチウムイオンバッテリーの正極材に用いられている。パナソニックは、米テスラ向けにリチウムイオンバッテリーを供給しており、テスラはコバルトを使わないリチウムイオンバッテリーが必要となると以前から見通していた。田村副社長は説明会の中で、もともとコバルトの使用量が少ない円筒形バッテリーでは早めにゼロにし、コバルトが主原料となっている角形バッテリーでも使用量を削減する考えを示した。
【参考】【国際】アムネスティ、DRCコバルト採掘での児童労働・有害労働レポート公表。ソニーも評価対象(2017年11月24日)
【参考】【国際】電気自動車バッテリー原料のリチウム・コバルトが抱える価格高騰リスク。英研究所分析(2017年9月5日)
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