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【日本】RAN、東京2020五輪組織員会の木材調達基準改定案が不十分と批判。「抜け穴」指摘

 国際環境NGOレインフォレスト・アクション・ネットワーク(RAN)は11月27日、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会の作業部会が11月26日に「持続可能性に配慮した木材の調達基準」改定案を了承したことを一部歓迎しつつも、大きな「抜け穴」が残されているとの声明を発表した。

 今回の改定案では、パーム油等の栽培のために森林が破壊されることを避けるため、森林の農地等への転換の際に発生する木材「転換材」を排除することを明記。またサプライチェーン対策として、伐採地までのトレーサビリティ確保の観点も含め、可能な範囲で当該木材の原産地や製造事業者に関する指摘等の情報を収集し、その信頼性・客観性等に十分留意しつつ、調達基準を満たさない木材を生産する事業者から調達をリスクと捉え、リスク低減に努めることが推奨された。

 これに対しRANは、まず転換材排除について、すでに現行の基準でも「中長期的な計画又は方針に基づき管理経営されている森林に由来する」としており、実質的な転換材は排除されていたため、調達基準の進展とは言えないと表明。さらに、持続不可能で権利が尊重されない傾向にある「再利用コンクリート型枠合板」が引き続き排除されていないことを批判した。これは、国連持続可能な開発目標(SDGs)への貢献を約束している同組織委員会のコミットメントしては不十分であるとした。

 サプライチェーン対策については、RANは、今回の改定案で、調達基準違反の「木材」そのものだけでなく、調達基準違反の「木材」を扱う「企業」からの調達リスクを下げることに言及したことは歓迎。但し、EU木材法(EUTR)や米レイシー法では、トレーサビリティ確認による合法性に関するリスク低減措置は法定義務となっており、今回の基準改定案でも「推奨」ではなく「義務」にまで踏み込むべきと不十分さを主張した。加えて、調達基準適合のリスクマネジメントが企業自身に委ねられたままになっていることも問題視。リスクに基づいたデューデリジェンス、伐採地の森林まで遡る完全なトレーサビリティ、木材サプライチェーンの合法性及び持続可能性に関連する第三者検証を義務化することも求めた。

【参考】【日本】「住友林業、双日建材等が違法木材の国内輸入に間接関与。東京五輪会場にも供給」RAN報告(2018年11月13日)

 さらにその他の改定要望点として以下の3点も挙げた。

  • 合法性の証明については、「環境物品等の調達の推進に関する基本方針」(グリーン購入法)と関連する「木材・木材製品の合法性、 持続可能性の証明のためのガイドライン」に沿って行うという規定が改定案に残っている。これらは証明書類のリスク評価やデューデリジェンスが欠けていると広く批判されており、国際的に認められている基準を大きく下回る。
  • 「先住民族や地域住民の権利に配慮」する基準に「 自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」(FPIC)に関する検証が含まれなかったこと。紙やパーム油の調達基準にはFPICは含まれていた。
  • 認証材向けに3割まで利用可能となっている非認証材について五輪の木材調達基準への適合の評価について含まれなかった。

【参照ページ】声明:東京五輪「持続可能性に配慮した木材の調達基準」改定〜SDGs目標、2020年まで「森林破壊ゼロ」達成には不十分(2018/11/27)

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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