
環境省は1月24日、絶滅のおそれのある野生生物(動物と植物等)の種をまとめた「環境省レッドリスト2019」を発表した。環境省は1991年から野生生物に関するレッドリストの作成を開始し、2012年に第4次レッドリストを作成。2015年からは生息状況の悪化等必要に応じて時期を定めず改訂する制度へと移行し、今回「環境省レッドリスト2019」が発表された。
今回、すでに「野生絶滅(EW)」の評価となっていたトキが、放鳥とそれ以降の個体数回復に伴い、「絶滅危惧ⅠA類(CR)」に緩和された結果、環境省レッドリスト2019における13分類群の絶滅危惧種の合計種数は、環境省レッドリスト2018の3,675種から1種増加して3,676種となった。また、2017年3月に公開した海洋生物レッドリストに掲載された絶滅危惧種56種を加えると3,732種となった。
トキは、佐渡島に野生生息していた最後の5羽が、1981年に捕獲され、「野生絶滅(EW)」となった。しかしその後、2018年10月までに延べ327個体が放鳥された。中国からも度々トキの提供を受けた。2012年以降は、毎年、野生下で巣立ちが確認され、2014年に初めて野生下の成熟個体が出現。2015年以降も野生下の成熟個体数は増加しているため、今回「野生絶滅(EW)」から「絶滅危惧ⅠA類(CR)」に引き下げられた。
また今回、同じく「野生絶滅(EW)」に指定されていたトキウモウダニについても再評価対象となった。トキウモウダニは、トキを固有の宿主とするダニで、トキが野生絶滅になったことに伴い、野生絶滅に指定されていた。しかし、現在飼育下や野生下にあるトキからは、これまでトキウモウダニは確認されていない。但し、調査数は性質上ごく限られていることから、国内における本種の生息の有無を確認するためにはさらなる調査が必要であり、現時点では情報が不足しているため、「情報不足(DD)」に位置づけられた。
絶滅(EX)
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我が国ではすでに絶滅したと考えられる種
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野生絶滅(EW)
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飼育・栽培下でのみ存続している種
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絶
滅
危
惧
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絶滅危惧ⅠA類(CR)
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ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いもの
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絶滅危惧ⅠB類(EN)
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ⅠA類ほどではないが、近い将来における野生での絶滅の危険性が高いもの
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絶滅危惧Ⅱ類(VU)
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絶滅の危険が増大している種
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準絶滅危惧(NT)
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現時点での絶滅危険度は小さいが、生息条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行する可能性のある種
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情報不足(DD)
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絶滅のおそれがある可能性はあっても、そのように判定するに足る情報が不足している種
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絶滅のおそれのある
地域個体群(LP)
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地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの
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【参照ページ】環境省レッドリスト2019の公表について
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