米アップルは3月5日、2019年のサプライヤー責任進捗報告書「Supplier Responsibility Progress Report 2019」を発表した。同報告書の発表は、2007年に開始し今年が13年目。アップルは、サプライヤーに対し環境や労働分野の改善に取り組んでおり、毎年改善の進捗状況を開示している。
アップルは2018年、同社のサプライヤー45ヶ国1,049社に対しサプライヤー監査(通称「アップル監査」)を実施した。アップル監査では、労働・人権、安全衛生、環境の3つの観点からサプライヤーが評価される。2018年の結果では、高パフォーマンス評価を受けた事業所が76%で、前年比17ポイント増えた。一方、低パフォーマンス評価を受けたのはわずか1%だった。監査実施1,049社のうち279社は、紛争鉱物と位置づけられる金、スズ、タンタル、タングステン(3TG)とコバルトの製錬・精製企業で、第三者監査実施率は2015年から100%を維持している。
環境面では、iPhoneの全最終組立工場で埋立廃棄物ゼロを達成。再生可能エネルギーでの事業運営を進める「Supplier Clean Energy Program」では、すでにサプライヤー30社が再生可能エネルギー100%での事業運営を目指すコミットメントを宣言している。2018年単年では、再生可能エネルギー利用拡大と省エネ改善で、サプライヤー合計で46.6万tの二酸化炭素排出量を削減した。中国では、政府から新たに12社が「グリーン工場」認定を受け、合計16社となった。また2020年までに再生可能エネルギー設備容量を4GWにまで高める。
iPhone、iPad、Mac、Apple Watch、AirPods、HomePodの最終組立工場は、すべて「Zero Waste to Landfill」認定を受けた。また、同社の「クリーンウォーター・プログラム」にはサプライヤー116社が参加し、水消費量を288億l削減し、サプライヤーのリサイクル水使用率は36%に改善した。
労働面では、2018年時点で、サプライヤーの従業員1,730万人が労働権に関する研修を受講。360万人が高度な教育と技能に関する研修を受けた。同社とサプライヤーが共同で開発した健康に関する研修プログラムは25万人以上が受講。栄養や母体保護に関するコースも追加された。また、2018年からはサプライヤー従業員が受けられるSwiftを使ったアプリケーション開発を含む学習コースも追加された。
サプライヤーの工場ラインを任せられる管理職不足への課題に対しては、同社サプライヤーの従業員が大学学位を取得できるプログラムで、2018年に1,500人以上が大学を卒業した。
【参照ページ】Apple releases 13th annual Supplier Responsibility Progress Report
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