世界保健機関(WHO)と南アフリカ政府は4月13日、国際的な薬販売価格引下げのための世界フォーラムを開催。政府、NGO、製薬企業が参加し、薬販売価格を引下げ、発展途上国や低所得者層への医薬品アクセスを控除させる戦略について議論した。現在では毎年1億人が医薬品費用負担が原因で貧困層に陥っているとの調査結果もあり、先進国の課題にもなりつつある。
WHOが2017年に報告したレポートでは、医薬品は医療保険等により政府がコストを負担し、市民に対して安く提供されていることを強調。そのため、先進国では政府負担が大きくできるのに対し、発展途上国では政府負担に限度があり、発展途上国の市民の方が先進国の市民よりも高い費用で医薬品を購入していることを問題提起した。
薬価引下げに向けた第一歩として、薬の販売価格に関する政府間の情報共有を進めることが、関係者間で合意されている。すでにオランダ、ベルギー、ルクセンブルクでは政府間情報共有の仕組みがスタートした。WHOが管理する国ごとの予防接種データベースにも価格データがあり、今後の予防接種価格引下げに向け同データベースを活用していくこともフォーラムで確認された。
その他にも、政府間の共同購入によるメーカー販売価格の引下げという手法も取り上げられた。各国政府は備蓄薬を準備するため、政府としても医薬品を購入しているが、政府間で必要な薬の情報を共有し、バルクとして発注すれば、メーカー販売価格を引き下げることができるという。
今回のフォーラムでは、参加者は、国連持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向け、公正な薬販売価格を実現していくことで合意。WHOは今後、「公平な価格」の定義についてステークホルダーの意見を聞きながら案を作成する。
【参照ページ】At WHO Forum on Medicines, countries and civil society push for greater transparency and fairer prices
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