米セメント製造ソリディア・テクノロジーズは4月24日、同社の独自技術を用いたコンクリート製造による二酸化炭素排出量削減効果が4,000tを超えたと発表した。同社は米ニュージャージー州にあるラトガース大学で生まれた技術をもとに2009年に創業。商用化に向けた研究を密かに進め、米国特許商標局も2018年に特許を発行。現在は商業生産を行っている。
コンクリートやセメントは通常、石灰石を原料とし焼成して生産するため、二酸化炭素を排出しやすい。一般的には、焼成過程で必要とする高温エネルギーの燃料からの二酸化炭素排出量が全体の4割、石灰石の加工過程で熱分解し発生する二酸化炭素が全体の6割と言われている。そのため、コンクリートとセメントからの二酸化炭素排出量削減は、非常に重要性が高い。
ソリディア・テクノロジーズの技術は、従来技術に比べ二酸化炭素排出量を70%削減できる。まず、原料として利用する石灰石を少なくし他の鉱物と混ぜることを可能にし、石灰石からの二酸化炭素排出量を30%削減。また、通常技術では、焼成時にコンクリートに水を必要とするが、ソリディア・テクノロジーズでは水に替え二酸化炭素を吸収することを可能とし、そのため焼成時に大気中の二酸化炭素排出量を固定することを実現。それにより合計最大70%も二酸化炭素ネット排出量を削減することができる。
コンクリートやセメント製造からの二酸化炭素排出量は世界全体の排出量の5%から7%を占める。今回の技術はそこから70%を削減できるため、仮に市場シェア100%になったとすると世界全体で1.5%から2%ほどの削減効果が期待できる。また、水の消費量を3兆tも削減できる。製造過程の廃棄物量も1億t以上削減できる。さらに人体有害物質である水銀、滝汚染物質である窒素化合物(NOx)と硫黄酸化物(SOx)の排出量も削減できる。
【企業サイト】Solidia Technologies
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