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【国際】IMF、パリ協定での気候変動目標達成に向けた世界の財政政策の状況を分析し提言をまとめた報告書公表

 国際通貨基金(IMF)は5月1日、パリ協定での気候変動目標達成に向けた世界の財政政策の状況を分析し提言をまとめた報告書を公表した。IMF理事会は3月19日に同報告書に対するレビューを実施、承認していた。また5月2日、化石燃料に対する各国の補助金を分析した報告書も公表した。国際金融と通貨安定化を担当するIMFもついに気候変動問題を扱い始めたことが大きな注目を集めている。

 補助金に関する報告書では、毎年、世界のGDPの6.5%に相当する5.2兆米ドル(約570兆円)が化石燃料分野に投資されていると指摘。大気汚染により毎年420万人が死亡しているとする世界保健機関(WHO)の警鐘にも触れた。

 財政政策に関する報告書では、気候変動緩和に向けた政策ツールの比較評価を実施。具体的には、炭素税、排出量取引制度(ETS)、燃料税、省エネインセンティブを比較した。さらにそれら施策からも歳入を国連持続可能な開発目標(SDGs)分野に支出し、資本や労働に課す税金を引き下げる効果も分析した。英国で実施している炭素価格下限設定の効果も分析した。

 IMFは、今回のレポートで、炭素税制度よりも再生可能エネルギーや電気自動車等への助成金のほうが効果が大きいとした。理由としては、二酸化炭素排出量が比較的小さい国や、石炭消費量の小さい国では炭素税では効果が期待できず、また燃料価格上昇等は政治的なハードルも高く、助成金による誘導のほうが狙いたい効果が狙えるとした。

 また、気候変動適応面では、災害による財政的負担を分散化させる基金や保険のスキームが必要と指摘。また、将来の経済的損害リスクを、政府歳出や債務健全性の評価の中に組み込むことも提言した。

 IMFは、これらの気候変動対策において、今後、財政や税制を所管する財務相の責任が大きくなりるとし、気候変動が与える影響を考慮した国家財政やマクロ経済政策をIMFが助言していく役割を追っていると認識した。

【参照ページ】IMF Executive Board Reviews Fiscal Policies for Paris Climate Strategies

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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