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【国際】IEAとIRENA、エネルギー政策で各々提言。原発と再エネ陣営の鍔迫り合い激しく

 国際エネルギー機関(IEA)は5月28日、昨今の原子力発電の減衰は気候変動リスクを招くとし、維持が重要とするレポートを発表した。一方、国際再生エネルギー機関(IRENA)は5月29日、再映可能エネルギーは最も安価な電源になってきているとするレポートを発表した。気候変動対策により石炭火力発電の将来性が否定される中、原子力発電の再興を呼びかける勢力と、再生可能エネルギーへの投資拡大を呼びかける勢力が鍔迫り合いする様相となってきた。

 IEAは、1973年の第1次オイルシェックを機に先進国が設立した組織。現在も経済協力開発機構(OECD)加盟国であることがIEA加盟の条件となっており、現在の加盟国は29ヶ国。中国、ロシア、インド等は加盟していない。一方、IRENAは、再生可能エネルギーの促進をテーマに2009年に発足。当初は75ヶ国が加盟していたが、その後急速に拡大し、現在の加盟国は160カ国。さらに23ヶ国も未批准だが署名している。

 今回のIEAのレポートは、先進国で脱原発の動きが広がり、現役引退により廃止させる原子力発電所も増えており、現状の政策が続けば、原子力発電所は2025年までに25%減少し、2040年までには3分の2減少すると見通した。その上で、二酸化炭素排出量ゼロである原発の急速な廃止は、二酸化炭素排出量排出増につながると警告。安全対策コストを加味しても再生可能エネルギーと同等のコストを実現できるとし、廃炉期限延長や新設を進める政策を各国に提言した。「小型モジュール炉(SMR)」と呼ぶ次世代原子炉についても将来を嘱望した。

 一方IRENAのレポートは、再生可能エネルギーコストが大幅に削減し、さらに今後も下がっていく見通しを示した。その上で、再生可能エネルギーは最も安価なエネルギー源になると述べ、今後、パリ協定の達成に向け全精力を再生可能エネルギーに向けるべきと提言した。

 IEAのレポートについては、原子力発電メーカーである日立製作所(日立GEニュークリア・エナジー)、三菱重工業、東芝の3社が、日本原子力産業協会(JAIF)を通じて、「IEA、原子力の急激な縮小はエネルギー供給保証と温暖化防止目標の達成を危うくすると警告」と発表。IEAの声を糧に、原発盛り返しを図る動きを見せた。

 一方、再生可能エネルギー分野の国際的なニュースサイト「PV Magazine」は、IEAのレポートを「Controversial」と断言。IEAは脱原発が進めばガス火力発電が増加すると言っているが誤りだ、とするスタンフォード大学のマーク・ジェイコブソン教授のコメントを紹介。IRENAのレポートも引用し、再生可能エネルギーを進めるべきと綴った。
 
【参照ページ】Steep decline in nuclear power would threaten energy security and climate goals
【参照ページ】Falling Renewable Power Costs Open Door to Greater Climate Ambition
【参照ページ】IEA、原子力の急激な縮小はエネルギー供給保証と温暖化防止目標の達成を危うくすると警告
【参照ページ】IEA urges advanced economies to support nuclear as renewables cost continues to fall

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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