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【国際】石油・セメント大手88社が1880年以降の海洋酸性化の半分に原因。論文発表

 科学者の国際環境NGO「科学者NGOの憂慮する科学者同盟(UCS)」の科学者らは12月11日、海洋酸性化と化石燃料関連企業の事業活動の関連性を定量的に研究調査した査読付き論文「Attributing ocean acidification to major carbon producers」を発表した。産業革命以来の海洋酸性化の原因の半分以上が、世界的な化石燃料関連企業の活動による二酸化炭素排出にあることを明らかにした。

 論文の研究対象は、88社の世界的な石炭、石油ガス生産企業とセメント製造企業。研究データは、Climate Accountability Instituteのものを使用した。同団体は2017年に、気候変動による気温上昇や海面上昇の原因を、特定の企業の温室効果ガス排出に帰する研究を初めて実施。今回は、1880年から2015年までと、1965年から2015年までの2つの期間で統計解析を行った。

 同論文によると、2つの時間軸のどちらにおいても、酸性化の原因となっている炭素量の半分以上を同88社が排出していた。また、1880年以来の排出炭素量の20%以上がBP、シェブロン、ロイヤルダッチシェル、エクソンモービル等の石油メジャーによる1965年以降の排出であるとした。海洋酸性化の影響については、地域間で差があるとし、特に影響を受ける地域は、コーラルトライアングル、ベーリング海、アラスカ湾、ペルー海流、北極海、カリフォルニア海流であると明らかにした。これらの地域の漁業はすでに海水温上昇によって影響を受けているが、酸性化によって今後さらなる被害が生じるとしている。

 海表面の酸性度は、産業革命以前の1880年から25%も上昇していて、過去6600万年で最も速いスピードで酸性化が進行している。同論文の共著者の一人によると、海洋酸性化は海洋生物が殻や骨格を形成することを難しくする。さらに、サンゴ礁回復のメカニズムにも影響を与えるため回復速度が遅くなり、結果的にサンゴ礁の白化を促進している。こうした影響が海洋生物の生態系を破壊し、ひいては沿岸地域の観光業や漁業に大きな損害を与える。特に、国民の主な栄養源を漁業に依存している国では影響が深刻になる。

 国連環境計画(UNEP)によると、気候変動影響への対応策に2030年までに毎年1400億から3000億米ドル、2050年までに2800億から5000億米ドルかかると試算している。しかし同論文著者の科学者たちは、海洋酸性化は地域によって影響のばらつきがあり、なおかつ乱獲や富栄養化などの他の影響とも混在するため、政策決定者はその影響やリスクを低く見積もりがちになってしまうと警鐘を鳴らした。

 USCは今回、石油メジャー企業は、1960年中旬以降、自分たちの事業活動が気候変動に悪影響を与えていることを知っていたとする最近の研究論文にも言及。大衆に「気候変動は不確か」ということを信じさせるためのキャンペーンに数億円と投じてきたと批判した。

【参照ページ】Study Finds That Top Fossil Fuel Companies’ Emissions Responsible for More Than Half of Ocean Acidification Since 1880

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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