世界銀行は12月19日、各国の債務に関する包括的な報告書を発表した。1970年以降、100カ国以上で債務が増加しており、合計債務額は過去50年間で最大の55兆米ドル(約6,000兆円)に達した。世界銀行は、累積債務の増加に警鐘を鳴らすと共に、各国政府による債務処理メカニズム開発の必要性を訴えた。
発展途上国の債務対GDP比率は、債務が上がり始めた2010年から54%分上昇し、168%に達した。年平均にすると7%ずつ上昇している。この速度は、1970年代のラテンアメリカの債務危機の約3倍の水準。とりわけ中国の債務対GDP比率が、72%分上昇し、255%になったことも大きいが、中国を除く発展途上国でも、債務残高は2007年比の2倍に膨張していると分析した。
現在、世界中で歴史的な低金利政策が採られているため、金融危機のリスクは低減できている。しかし1970年以降、発展途上国における急速な債務増加事例521件のうち、約半分は金融危機を伴ったとして、現状に対する懸念を示した。
発展途上国では、政府債務と民間債務が同時に蓄積しており、政府債務の50%が外債となっている。さらに、低所得国の債務の多くは、金利、返済期間、据置期間等の借入条件が緩和されていない「非譲許的条件」が設定され、債務国への援助、経済協力を目的としたパリクラブの債務問題解決枠組みが適用されない。
発展途上国での債務増は、国連持続可能な開発目標(SDGs)での目標達成のために必要なファイナンスも含まれるが、今回の報告書では、SDGsと債務の関係については詳述しなかった。一方、政府の対応策としては、債務者の透明化の推進や安定的な金融政策、倒産時の企業再生制度の整備、コーポレートガバナンス強化などを挙げた。また民間銀行についても、適切な融資プルーデント基準を設けて融資先企業の債務管理を支援し、リスクに備えるべきとした。
【参照ページ】Global Wave of Debt Is Largest, Fastest in 50 Years
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