Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【国際】WHO、武漢発生の新型コロナウイルスで緊急事態宣言。加盟国に対策強化を勧告

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は1月30日、中国・武漢で発生した新型コロナウイルス感染症に対し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。同日開催された緊急委員会で、PHEIC宣言が助言され、アドノム事務局長が最終決定した。同委員会開催時点で、中国での感染者7,711人、感染の疑いがある人が12,167人、死者170人。一方、124人は回復し退院している。日本国内での感染確認も14人となった。

 PHEICは、2005年制定の国際保健規則(IHR)に基づく措置。緊急委員会は、事務局長に対し、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」の宣言の是非に関する助言を行う権限がある。PHEICに指定されると、WHO事務局長は、発生国及びその他のWHO加盟国に対し、人、荷物、貨物、郵便物等の国際交通・物流に関する勧告を行う義務が発生する。加えて、WHO加盟国は新型コロナウイルスに関する情報をWHOに共有することが義務化される。またWHOの各加盟国でも、PHEICが宣言されると、国内の行政手続きを強化することを法規則で規定している国も多い。

 今回のPHEIC指定に伴う勧告では、中国に対しては引き続きに現在展開している感染拡大防止措置の継続を求めた。一方、他の加盟国に対しては、国際感染を防止するため、必要な措置を強化することを求めた。またWHO加盟国は、旅行者の貨物の入国を24時間以上停止する措置を講じる場合は、措置から24時間以内にWHOに報告する義務も追う。WHOは、報告された内容をチェックし、措置の再考を要求する場合もある。

 2005年にPHEIC宣言制度が確立してから今日までに指定された件数は7件。2003年に中国南部で流行したSARS(重症急性呼吸器症候群)は、PHEIC宣言制度の確立前のため指定されていない。2013年に韓国を中心に流行したMERS(中東呼吸器症候群)は、緊急委員会が開催されたが指定はされなかった。

  • 2009年の新型インフルエンザ(H1N1型)
  • 2014年の野生型ポリオ
  • 2014年の西アフリカエボラ出血熱
  • 2015年のジカ熱
  • 2018-2019年のコンゴ民主共和国北キブ州でのエボラ出血熱
  • 2020年の中国・武漢での新型コロナウイルス

【参考】【国際】WHO、コンゴ民主共和国のエボラ出血熱に「緊急事態」(2019年7月21日)

 WHOは1月23日にも、初の緊急委員会を開催していたが、各委員から異なる見方が出、統一的な見解が生まれず、事務局長は、同時点ではPHEICには該当しないとの判断を下していた。但し、その際、10日以内に最終情報を得た上で、緊急委員会を再度開催することも決めており、今回スムーズに2回目の開催が実現した。

 1月23日の緊急委員会では、中国から致死率が4%という報告を受けていたが、ヒト・ヒト感染が明確には確認されておらず、感染もほぼ中国内に留まっていることが判断の決め手となっていた。但し、緊急委員会は、PHEIC宣言に関する助言以外にも、各関係者に勧告を出す権限があり、中国に対する感染防止の指示や、他国での予防策の支持は出していた。その後、ヒト・ヒト感染が日本やベトナムでも確認され、1月30日の緊急委員会では、PHEIC指定の要件を満たすと判断された。

 WHOは1月26日、リスクの認識については、毎日発行する「Situation Report」の中で、「中国では非常に高い、周辺地域では高い、世界的にも高い」と発表。同時に、1月23日から25日までの同レポートにおいて「中国では非常に高い、周辺地域では高い、世界的には中程度」としていたことを訂正し、「世界的にも高い」が正しかったと伝えた。またテドロス・アダノム事務局長は1月28日に北京を訪問し、習近平国家主席と会談。WHOから中国に専門家を派遣することで合意している。

【参照ページ】Statement on the second meeting of the International Health Regulations (2005) Emergency Committee regarding the outbreak of novel coronavirus (2019-nCoV)
【参照ページ】Statement on the meeting of the International Health Regulations (2005) Emergency Committee regarding the outbreak of novel coronavirus (2019-nCoV)
【参照ページ】Novel Coronavirus (2019-nCoV) SITUATION REPORT - 6
【参照ページ】WHO, China leaders discuss next steps in battle against coronavirus outbreak

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。