国際的なフェアトレード推進機関と食品世界大手は5月19日、西アフリカのカカオ農家を対象とした国際イニシアチブの状況を分析した報告書を発表。企業や国際機関が展開するカカオ国際イニシアチブが発表している数値が実態と大きな乖離があるとして、ステークホルダー間の協働を呼びかけた。
今回レポートを発表したのは、フェアトレード推進国際組織フェアトレード(FLO)インターナショナルと食品世界大手米モンデリーズ・インターナショナル。
モンデリーズ・インターナショナルは2012年以降、カカオ・サプライチェーンにおけるサステナブルな活動「ココア・ライフ」を実施。2016年以降は、FLOとの協働を始め、「ココア・ライフ」および「国際フェアトレード基準」の向上を図っている。
【参考】【ガーナ】米モンデリーズの持続可能なカカオ調達活動、農家の所得が3倍に(2016年4月1日)
今回両者は共同で、ガーナとコートジボワールの2カ国を対象に、貧困、児童労働、森林破壊などの問題に取り組む92個の国際イニシアチブの活動を評価。分析対象となった活動には、カーギル、マーズ、ハーシー、英国際開発省(DFID)、世界銀行、マークス&スペンサー、セインズベリー等が含まれる。
銅レポートでは、国際イニシアチブが、カカオ農家数を正しく把握していないと指摘された。各イニシアチブを通じて計算されたカカオ農家総数は、実際の数より80万人も多く見積もられていたことが判明した。実態を正しく理解するため、地域企業や組織とのパートナーシップを積極的に結び、効率的な取り組みを進めていくよう呼びかけた。
また、両者は、イニシアチブが掲げる活動範囲を、環境的側面に限らず、社会的側面にも広げるよう要請した。多くのイニチアチブが、「気候問題」や「森林保護」に重点を置いているが、現地のカカオ農家が目下支援を必要としているのは、食料確保、インフラ整備、教育、医療保健所等。ガーナもコートジボワールも、カカオ農家は毎日1米ドル以下での生活を余儀なくされており、サステナビリティの観点において、企業が考える優先事項と現地農家が抱える優先事項に大きなギャップがあると指摘。農家との対話を進めながら、サステナブルなカカオ産業の実現に向け、包括的な取り組みを行うよう呼びかけた。
FLOは今後、同レポートの第2段階として、政府、企業、ブランド、カカオ組合および協同組合など各種組織が、最も効率的かつ効果的に課題解決できる方法を確立するための調査を行っていく。
【参照ページ】NEW RESEARCH SETS OUT HOW TO ACHIEVE BREAKTHROUGH IMPACT TO END COCOA FARMER POVERTY
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