米連邦最高裁判所は6月15日、雇用主が性的指向に基づいてLGBTの従業員を差別することは、人種や性別等による差別を禁じた1964年制定の公民権法に違反するとの判断を初めて下した。米国では多くの州政府は、雇用でのLGBT差別禁止を法定化されていたが、これにより全米において差別禁止が決定した。
今回の裁判は、LGBT雇用差別禁止が法定化されていないアトランタ州のクレイトン郡少年裁判所に2003年から勤務していたジェラルド・ボストック氏が、2013年にLGBTソフトボール・リーグに参加することを明らかにしたところ、少年裁判所から「郡公務員として相応しくない」との理由で解雇。不服とした同氏が連邦地方裁判所に2016年に提訴する形で始まった。
一審判断は審理前の却下。二審でも一審を支持し、違法性はないと判断した。同氏は2019年に、連邦最高裁判所に対し、公民権法第7条でLGBTへの雇用差別が禁止されているかを問う上告を実施。今回の判決に至った。連邦最高裁は、「同性愛者やトランスジェンダーということだけで解雇することは公民権法第7条に違反する」と判断した。裁判官の判決は賛成6、反対3。保守派のニール・ゴーサッチ判事が賛成を主導し、ジョン・ロバーツ最高裁長官と4人のリベラル派判事が支持した。
(出所)Human Rights Campaign
米連邦最高裁は2015年、同性婚を合法とする判断も下しており、今回の判決はそれに続くLGBTの権利保護となった。トランプ政権は、LGBT従業員の差別からの保護を約束したオバマ前政権時代の司法省判断を否定していたが、保守派が多数を占める現在の連邦最高裁でも、LGBT雇用差別禁止の判断が下った意義は大きい。トランプ大統領は、今回の判決を受け、記者会見の中で、連邦最高裁判所の判断に従うのがルールであり、連邦最高裁判所の判決はパワフルだと落ち着いて話した。
【判決】BOSTOCK v. CLAYTON COUNTY, GEORGIA
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