スペイン電力大手Viesgoは6月15日、ロス・バリオス石炭火力発電(設備容量570MW)を廃止する申請を当局に提出したことを明らかにした。スペインでは石炭火力発電所が相次いで廃止されており、2023年までにスペイン国内での石炭火力発電所はわずか1基となる見通し。
Viesgoは、スペイン北部を営業エリアとするスペイン第4位の電力会社。700,000万世帯に電力を供給しつつ、送配電事業や発電事業も行っている。同社は1910年創業だが、オーナーが頻繁に変わってきた。1983年にはサンタンデール銀行が買収し、2002年にイタリアのエネルに売却。2008年にはエネルがE.ONに売却。2015年にはE.ONは、マッコーリー銀行のファンドに売却。さらに2018年にレプソルが、Viesgoのコンバインドサイクル発電所と水力発電所をアセット買収した。レプソルのアセット買収の狙いは、低炭素電源の強化だっため、Viesgoが所有していたロス・バリオス石炭火力発電は事業買収の対象外だった。
Viesgoは2月にはロス・バリオス石炭火力発電の稼働継続を表明していたが、新型コロナウイルス・パンデミックにより稼働率が大幅に低下。スペインでは5月、石炭火力発電量が245GWhにとどまり、前年同月比で28.6%も減少した。今回の廃止発表は、パンデミックにより事業見通しが大きく変化したと考えられている。廃止時期は、当局の判断に左右されるため、未定。
スペイン国内では現在、石炭火力発電所が25基(設備容量9.21GW)稼働しているが、6月30日までに15基(同4.87GW)の廃止が決定している。背景にはEUの気候変動政策がある。さらに、スペイン電力大手エンデサのリトラル・デ・アルメリア発電所(1.1GW)とアス・ポンテス発電所(1.4GW)も2021年末までに廃止される計画となっている。
2023年以降も稼働が続く予定だったのは、ロス・バリオス石炭火力発電も含め3基。しかし、ポルトガル電力大手EDPが5月に、ソト・デ・リベラ3号機(346MW)を2022年までに廃止する計画を発表し、ロス・バリオス石炭火力発電も今回廃止の方向となった。これにより、廃止計画がないのはEDPのアボノ2号機(562MW)のみとなった。
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