消費財世界大手米P&Gは7月16日、2030年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)にする新たな目標を発表した。パリ協定を達成するための気候変動緩和策として、自社でのアクションだけでなく、新たなソリューションの分野にも積極的に投資していく。
同社は以前、スコープ1とスコープ2で2030年までに2010年比で排出量を50%削減し、事業電力は再生可能エネルギー比率を100%にまで高める目標を発表していた。さらに同社は、この目標ですでに科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)から承認を得ているが、今回自発的にさらに目標を高め、2030年までにスコープ1とスコープ2でのカーボンニュートラルを実現するとした。
同目標を設定するため、まず、太陽光発電、風力発電、地熱発電のプロジェクトを推進するが、それでも既存の技術では2030年以降を見据えた二酸化炭素排出量削減ができなくなるとし、新たなソリューションの創出していくことにした。
新ソリューション開発では、コンサベーション・インターナショナル(CI)と世界自然保護基金(WWF)とパートナー契約を締結。森林、湿地、草原、泥炭地等、重要性が高く投資すべき分野の特定を行う。同社はすでに、複数のプロジェクトを開始しており、フィリピン・パラワン島でのマングローブ林保全ではCIと協働、ブラジル東海岸のアトランティック・フォレストではWWFと協働している。同社は、生態系の保護は、地域コミュニティの社会・経済にも大きな便益があると捉えており、今後積極的に生態系保護から生ずるポジティブインパクトを測定、開示していいく。
さらに2040年までに、スコープ3の二酸化炭素排出量も85%削減する。具体的には、主力洗濯用洗剤「アリエール」や「タイド」では、温水ではなく、30℃の低温水や常温水で洗浄効果が高まるようになっている。また、自動食洗機用洗剤「カスケード」では、手洗いよりも水消費量やエネルギー消費量が少なくなるように設計されている。今後、消費者認知の拡大も通じて、消費フェーズでの二酸化炭素排出量を減らしに行く。これらのように、ライフサイクルアセスメント(LCA)を積極的に活用し、スコープ3の削減を目指す。
【参照ページ】P&G Embraces Natural Climate Solutions to Accelerate Progress on Climate Change and Will Make Operations Carbon Neutral for the Decade
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら