製鉄世界大手アルセロール・ミタルは9月30日、グループ全体での2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現すると宣言した。製鉄は、産業界の中で最も二酸化炭素排出量の多いセクター。今回、製鉄世界大手からついにカーボンニュートラルを表明する企業が出た。
同社は2019年、欧州市場では2030年までに二酸化炭素排出量を30%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現との長期目標を掲げていたが、今回カーボンニュートラルの対象をグローバルへと拡大した。
同社は今回、製鉄でのカーボンニュートラルを実現する道筋として2つの選択肢を提示し、当面双方の可能性を追求する意思を示した。選択肢の1つ目は、水素を活用した直接還元製鉄法で。同社がドイツ・ハンブルクに保有する欧州唯一の直接還元電炉プラントで、水素直接還元製鉄の実証施設を建設し、2023年に運転開始する計画。
もう一つの選択肢は、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)を活用する方式で、同社は「スマート・カーボン」の名付けた。還元財には、石炭の替わりに、持続可能な手法で生産されたバイオマスや廃棄物を活用する。こちらも実証プラントを建設し、2022年の運転開始を目指す。
同社は当面の見通しとして、スマート・カーボン型の方が実用化の可能性が高いと言及し、特に2030年までは水素を活用した直接還元製鉄は、コストが高く量産化のハードルは高いとの見方を示した。
また同社は、製鉄でのカーボンニュートラルを達成するための前提となる市場環境について、以前から表明している政策フレームワークをあらためて強調した。具体的には、排出量の多い企業が規制の低い地域に転出する「カーボン・リーケッジ(炭素漏出)」リスクを防止するレベル・プレイング・フィールドの確保、豊富で安価な再生可能エネルギーへのアクセス、再生可能エネルギー・インフラ開発の支援、低炭素製鉄に向けたサステナブルファイナンスへのアクセス、サーキュラーエコノミーへの転換を加速させる政策の5つ。
【参照ページ】ArcelorMittal sets 2050 group carbon emissions target of net zero
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