金融世界大手英HSBCは10月14日、機関投資家と発行体のサステナブルファイナンスに関する2020年版調査の結果を発表した。新型コロナウイルス・パンデミックにより不確実性が増す中、サステナブルファイナンスの重要性が高まっていることが確認された。
調査対象者は、世界の機関投資家1,000社と発行体1,000社。回答者の90%が、ESGを「非常に重要」もしくは「重要」と回答した。また、機関投資家の過半数、発行体の4分の3が、パンデミックを機に、ESGを強化、もしくはこれまでSの観点への配慮が足りていなかったことを認識したという。
ESGのうち、EとSの観点については、機関投資家の86%が重要性と回答し、2019年の94%からやや減少。一方。発行体では62%がESGへのコミットメントを行っているとし、2019年の58%から増加が見られた。ESGの重要性については、発行体の93%が昨年同様、重要と回答した。
気候変動からの影響については、機関投資家の76%が人類にとって最も緊急、または最も深刻な課題の一つと認識しており、発行体の55%がすでに事業影響を受けている、もしくは10年以内に脅威となる回答した。
サステナブルファイナンスの推進力については、機関投資家では、自身の価値観以上に、リスク調整後リターンという財務目的による効果が大きいことがわかった。推進力ファクターに関する回答で、「リスク・リターン」が49%、「社会からの期待」が43%、「規制当局」が41%、「価値観」が38%だった。一方、発行体が環境と社会へ取り組む推進力としては「バリュー」が最も大きく55%。機関投資家との乖離が見られた。
またHSBCは、サステナビリティへの取り組みについて、投資家より発行体での対応が進んでいると指摘。今後5年間で社会課題や環境課題に対応するために資本動員を行うと予測している発行体は97%と多く、前年の94%を上回った。また、同社は、ESGの評価が高い大企業の株価成長率は、2019年12月中旬以降の世界平均を4.7%上回っていると分析。気候関連株に関しては、同期間で世界平均より13%上回っていた。
一方、機関投資家でもサステナブルファイナンスは着実に浸透。2019年には、機関投資家の61%がサステナブルファイナンスへの障壁を報告していたものの、2020年には大幅減少し46%となった。情報の開示も拡大し、2019年には、ポートフォリオ全体のESG情報を開示する機関投資家は世界で24%であったが、2020年には35%まで増加。
今後については、サステナブルボンドの成長が見込まれると分析。現状、世界の債券投資家の36%しか購入していないものの、本格的な購入が始まると予想。投資対象としては、持続可能なインフラ投資、特に再生可能エネルギー、低炭素燃料、上下水道システム等を有望とした。
【参照ページ】HSBC survey of issuers and investors finds largest share believe more strongly in ESG issues
【レポート】The Sustainable Financing and Investing Survey
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