化学世界大手独BASFは3月4日、農業のサステナビリティ・イノベーションに向けたR&Dを強化すると発表。2030年までに、種子関連事業、化学・バイオ、デジタルサービス等で、R&Dプロジェクト30個以上を展開。持続可能な農業関連ソリューションでの売上シェアを年間7%増加させる。
同社は2020年だけで、セグメント別売上の11%を占める農業関連事業に8.4億ユーロ(約1,100億円)のR&D投資を実行。2021年には、さらにR&D投資を強化する。
同社は、2050年までに世界人口が97億人にまで増加した上で、食料需要を満たせるだけの農作物が必要であり、そのためには農業生産性を50%向上させなければならない点に着目。DXを推進し、生態系保護と収量の改善を進める。2020年11月には、総合電機世界大手独ボッシュとプレシジョン農業技術開発を行う合弁会社を設立することに合意。公正取引委員会の承認がおり次第、雑草を認識し、正確量の除草剤を散布を可能にする技術「スマート除草剤散布」の提供を開始する。
同技術は、BASFの栽培管理支援システム「ザルビオ」と組み合わせることで、雑草の予防や不耕起栽培が可能になり、収量予測の改善にも寄与。土壌からの二酸化炭素排出量や土壌侵食を削減し、腐植土を拡大できる等、土地利用の生産性を最大化と、環境負荷削減を両立する。
また同社は、殺虫剤有効成分「アクサリオン」についても、規制当局の承認待ち。同商品は、適切な用法・用量を遵守して使用した場合、害虫のみの駆除が可能。益虫には影響を与えず、殺虫剤耐性を防止も期待される。同商品は、初期段階のR&Dで第三者保証も得ている。
種子関連製品では、最も破壊的な真菌性疾患の1つ「べと病」に耐性があるホウレンソウ種子も開発。農家による環境にやさしく、健康的で手頃な価格の食品生産を支援する。その他には、レタス等の水耕栽培システムのR&Dにも投資。地理的な制約なく、消費者の近隣での栽培を可能にすることで、長距離輸送での二酸化炭素排出量を削減する他、土地利用や水消費量削減にも寄与する。
さらに同社は同日、持続可能なパーム油に関する進捗と今後のアクション発表した。同社は2020年までに、パーム油調達を100%RSPO認証済みのものへ転換。透明性についても、パーム油の約95%で、精油所まで追跡できるようになったという。
製品からの二酸化炭素排出量は、2020年時点で、従来比30万t以上の削減に成功。同数値は、 ISO-14067(2018)に準拠し、算出した。今後は、脂肪族アルコールや脂肪酸等、パーム油やパーム核油由来の中間体調達にも対象を拡大。2025年までに認証取得済みのものへと転換する。
【参照ページ】BASF strengthens innovation pipeline for sustainable agriculture
【参照ページ】BASF achieved its 2020 Palm Commitment
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