APBと三洋化成は3月9日、共同開発中の次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池(All Polymer Battery)」の樹脂集電体の量産化で、グンゼと供給体制の構築を目指すことで覚書を締結したと発表した。APBは、日本発の全樹脂電池スタートアップで、近年大きな注目を集めてきている。
APBは、バイポーラ型リチウムイオン電池の権威である慶応義塾大学堀江教授と、慶應義塾大学と野村ホールディングスが2015年に設立されたベンチャーキャピタル「慶應イノベーション・イニシアティブ(KII)」が2018年に設立。同社が開発している電池は電極に、金属の代わりに樹脂を用いており、電極の厚膜化、セルの小型化、電気容量を従来型の約2倍以上への引き上げが可能。
APBが開発している次世代電池には、負極材料としてハードカーボンが必要で、2019年4月にはハードカーボン大手のJFEケミカルからの出資を獲得。2020年3月には福井県越前市に量産工場のための用地を購入。2020年3月には、JFEケミカル、JXTGイノベーションパートナーズ、大林組、慶應イノベーション・イニシアティブ1号投資事業有限責任組合、帝人、長瀬産業、横河電機の7社から総額80億円の出資を獲得している。
同4月には、日産自動車と三洋化成工業から、全樹脂電池の要素技術に関する特許およびノウハウに関する実施許諾契約も締結。そして2020年には、豊田通商、三洋化成工業、新東工業、三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合からも出資を受けた。
今回のグンゼとの覚書では、グンゼの持つフィルム製造技術をベースに、APBと三洋化成の3社で共同開発してきた集電体を供給する。
【参照ページ】APB株式会社、三洋化成工業株式会社と全樹脂電池向けの樹脂集電体の量産化に向けた合意について
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