環境省は7月2日、気候変動による災害激甚化に関する影響評価の中間報告書を発表した。環境省は、2020年度から、前年の東日本台風(台風19号)を対象とし、文部科学省の気候変動研究プログラムの成果等を活用しながら、台風災害の激甚化の分析を行っている。
今回の分析では、2℃上昇シナリオと4℃上昇シナリオの2つを設定。シミュレーションを実施した。結果、東日本台風級の台風が将来発生した場合、関東・東北地方により多くの雨をもたらす結果が得られた。まず、洪水の影響では、東日本台風でも被害が大きかった荒川、多摩川、利根川、千曲川(信濃川)、那珂川、久慈川、阿武隈川、鳴瀬川(吉田川)の8水系でピーク流量を算出。結果、いずれの水系でも2℃上昇シナリオでは、平均して15%(-1~29%)、4℃上昇シナリオでは、平均して29%(2~42%)増加する結果となった。
河川氾濫では、中小河川において氾濫が発生する目安となる30㎜/hを超える箇所が、現在気候に比べ2℃上昇シナリオでは1.44倍、4℃上昇シナリオでは2.28倍となる結果となった。東日本大震災よりも被害発生地域が広範となる。
(出所)環境省
高潮影響では、東京湾の潮位の変化(最大潮位偏差)を分析。台風の中心気圧が低下し、風速が増加した結果、吸い上げ効果と吹き寄せ効果が増大。2℃シナリオで、現在の気候に比べ平均5%、4℃シナリオでは平均13%増加する。4℃シナリオでは、将来の海面水位の上昇も加味した場合、満潮時に台風が接近すると東京湾及び河川の河口付近の最大水位が、東京湾の平均海面より3.2m以上上昇することが予測された。
環境省は2021年度には、今回の分析の最終報告書を作成するとともに、2018年の西日本豪雨と台風21号も対象とし分析する予定。
【参照ページ】気候変動による災害激甚化に関する影響評価(中間報告)について
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