英環境・食糧・農村地域省は8月27日、生物多様性に関する規定を大幅に強化する改正環境法案を発表した。2030年までに種の減少を食い止める法的拘束力のある法定目標設定の義務化を盛り込んだ。生物多様性に関しては、6月に開催されたG7コーンウォール・サミットでも国際合意に達しており、英政府がいち早く、法定目標の策定を進める。
英政府は、生物多様性喪失を食い止めるため2030年までに生態系を復旧し、2030年までに陸地で30%以上、海洋の30%以上を保全区または保護区に設定する「30x30」イニシアチブに署名。米バイデン政権も同様の政策を進めている。
【参考】【国際】G7コーンウォール・サミット2021、共同声明採択。パンデミック、気候変動、生物多様性等で合意(2021年6月14日)
【参考】【アメリカ】バイデン政権、陸域と水域の30%を自然保護区化へ。30×30政策標榜(2021年6月1日)
今回発表の法案では、下水や雨水オーバーフロー対策の強化が目玉。主な内容は、
- 2030年までに種の数の減少の停止で世界をリードする法定目標を設定
- 水道会社に対して、下水排出による水質影響を監視し、データ公表を義務化。さらに雨水のオーバーフロー発生時にリアルタイムで情報を提供することも義務化
- オーバーフローを撲滅するためのコストと利益を検討した報告書の公表を政府に義務化
- 持続可能な排水システムを新規開発物件に導入するための同省基準の策定を義務化
- 新設される環境保護局(OEP)の独立性を強化し、OEP向けに発行される全ガイダンスに対する議会レビューを義務化
- 地方政府当局の地方自然回復戦略策定に対する法定ガイダンスの策定
- 閣外相に、開発案件に対し、生物多様性観点でのレビュー権限を付与し、最低保護期間を設定できるようにする。これにより生物多様性でのネットポジティブの初期段階評価が可能になり、開発案件に設定していく要件を見極めることができるようになる
- 包装・容器への拡大生産者責任制度のテクニカル面の修正を行い、責任者の任命権を確立
- 貴族院(上院)の委任権限・規制改革委員会(DPRRC)の勧告を受け入れ、同条項が議会で適切にレビューすることを制度化
【参照ページ】Landmark Environment Bill strengthened to halt biodiversity loss by 2030
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