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【イタリア】エネル等、再エネ転換に関する共同研究結果発表。GDPや雇用でプラス。さらなる加速を

 エネルギー世界大手イタリアのエネルと、イタリア・コンサルティング大手のThe European House-Ambrosettiは9月4日、再生可能エネルギー転換政策の進捗とガバナンス課題に関する共同研究結果を発表。再生可能エネルギーへの転換は、GDPや雇用、自然環境に良い影響を与え、ガバナンスの効率化は、エネルギーシステムの持続可能性を確保し、価値・雇用を創出する機会となると結論付けた。

 同研究では、再生エネルギー関連業界への投資は今後10年間、EUのGDPに8兆ユーロ(約1,040兆円)以上、イタリアのGDPに4,000億ユーロ(約51兆円)以上の累積インパクトがあると推定。前例のない投資機会とし、EUの長期加盟国支援予算制度「NextGenerationEU」には現在、7,500億ユーロ(約97兆円)が割り当てられ、イタリアでは約2,350億ユーロ(約30兆円)の国家復興・回復計画(NRRP)を策定済み。

【参考】【EU】欧州委、NextGenerationEUでグリーンボンド・フレームワーク公表。EU基準に「できる限り」準拠(2021年9月9日)

 一方、欧州委員会が2021年7月に発表した包括的な気候変動政策パッケージ「Fit for 55」に関しては、2030年までに二酸化炭素排出量を1990年比55%以上削減する目標に対し、進捗に遅れが出ていると指摘。現在の対策ペースでは、EUが目標を達成するのは2051年になると警鐘を鳴らした。

 加えて、再生可能エネルギー比率40%やエネルギー効率36%向上目標についても、現在のペースではそれぞれ2043年と2053年に達成する見込み。イタリア単体でも、2030年までに二酸化炭素43%削減、再生可能エネルギー比率37.9%、エネルギー効率46.4%向上に留まると推計した。平均29年の遅れが生じているという。

【参考】【EU】欧州委、包括的気候産業規制「Fit for 55」採択。国境炭素税も盛り込む。大企業賛同(2021年7月15日)

 両社は、現状の遅れを巻き返すには、再生可能エネルギー転換に向けたガバナンス上の障壁を取り除く必要があると分析。EUおよび加盟国が法的規制が可能な分野であることを課題視し、新たな間接的な立法の仕組みの必要性や、目標達成に向けた体制強化の必要性を指摘した。改善策としては、EUでの市場統合、EU外に対する国際的な炭素国境調整メカニズム(CBAM)の奨励、パリ協定の下で設定した自主的削減目標(NDC)の整合性を保証するメカニズムの促進等を提案した。

 またイタリアについては、ステークホルダー間での責任の分断、統一されていない地域規制と国内規制の地域適用、企業の地域社会へのエンゲージメントとコミットメントの弱さ、公的機関の非効率性、部門別政策の断片的な立案等を課題として指摘。再生可能エネルギー発電所の認可手続きの簡素化と、エネルギー効率改善の促進、電気自動車(EV)の充電インフラ拡充に向けた地方自治体と配電事業者(DSO)、充電ポイント事業者(CPO)の体制構築、工業地域と地域単位の産業区等と全国の配電網の完全統合等を推奨した。

【参照ページ】"European Governance of the Energy Transition" study from Enel and The European House - Ambrosetti: improve governance to open the way for investments and ensure the achievement of the climate and energy goals by 2030

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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