世界経済フォーラム(WEF)が主導する「CEO気候リーダーズ同盟(Alliance of CEO Climate Leaders)」は10月27日、各国政府に対し、1.5℃目標と整合する形で、2030年までに二酸化炭素排出量を50%削減、2050年までにカーボンニュートラルを達成する自主的削減目標(NDC)の設定を要求する共同書簡を発表した。その上で、企業も2030年までに二酸化炭素排出量の年間を1Gt削減し、官民連携を進める用意があると伝えた。
国連環境計画(UNEP)によると、世界全体の排出量の60%以上を占める国がカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を宣言しているものの、排出量を多い業種に対し具体的な政策や規制で対策されているのは、排出量の12%に過ぎないという。そのためWEFは今回、政府に対し、第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)を好機と捉え、より積極的な対応を進めることを求めた。
CEO気候リーダーズ同盟への署名CEOは、マイクロソフト、ネスレ、セールスフォースアクセンチュア、ペプシコ、ノバルティス、SAP、ノボノルディスク、シーメンス、ユニリーバ、HSBC、インディテックス、マヒンドラ&マヒンドラ、アリアンツ、シュナイダーエレクトリック、エネル、デル・テクノロジーズ、アクサ、ドイツポスト、サンタンデール銀行、イベルドローラ、ハイネケン、ABB、チューリッヒ保険、Workday、バイエル、オーステッド、ING、APモラー・マースク、ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア銀行(BBVA)、ジョンソンコントロールズ、フィリップス、LG化学、パロ・アルト・ネットワークス、ウィプロ、DSM、ヴェスタス、ニューモント、バイオジェン、キャップジェミニ、HP、スイス再保険、タイソン・フーズ、H&M、ドイツ銀行、カールスバーグ・グループ、タタ・スチール、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ、ジェイコブズ、NNグループ、ノボザイムズ、JLL、ソルベイ、ヘンリーシャイン、アクシオナ、GEAグループ、フレックス(旧フレクストロニクス)、インドラマ・ベンチャーズ、シグニファイ、マンパワーグループ、エリクソン、アルチェリッキ、イケア、ブルームバーグ、モットマクドナルド、オラノ・グループ、テトラパック、トレイン・テクノロジーズ、ボストンコンサルティンググループ(BCG)、ベイン&カンパニー、カーニー(旧ATカーニー)、デロイト、PwC、KPMG、EY、LGTリヒテンシュタイン銀行、アラップ、ダンフォス、電通インターナショナル、グルンドフォス、マジド・アル・フッタイム、スカニア、ZFグループ、PensionDanmark、Capricorn Investment Group、Dalmia Cement(Bharat)、LeasePlan、Yara等。日本企業からは、武田薬品工業のクリストフ・ウェバーCEOとサントリーホールディングスの新浪剛史CEOが署名した。
署名企業は、他にも、政府に対し、先進国から発展途上国向けに、気候変動緩和・適応に1,000億米ドル(約11.4兆円)以上を支援することや、主な開発金融機関の融資ポートフォリオ全体に対する科学的根拠に基づく削減ガイドラインの策定も求めた。企業自身では、CDP気候変動のデータに基づき、2030年までにバリューチェーン全体での二酸化炭素排出量1Gt削減することにコミットしていることを強調した。
またCEO気候リーダーズ同盟は6月にも、公開書簡で業界別の政策提言も行っている。同書簡では、二酸化炭素排出量削減を加速し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するための重要なポイントを特定。化石燃料補助金の廃止、気候フレンドリーな商品への関税の撤廃、カーボンプライシング制度の開発、公正な移行に向けた措置を求めた。
また脱炭素製品・技術の調達や迅速な導入を可能にする法規制の整備等、率先して取り組む企業への支援とインセンティブ設定を要請。防災や持続可能な食品生産、水供給の確保に向け、気候変動レジリエンスの高い都市、サプライチェーン、インフラの構築等への投資も呼びかけた。
【参照ページ】CEO Climate Alliance to world leaders: We support you in taking decisive climate steps at COP26
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