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【EU】欧州委、自然再生法と農薬50%減で政策発表。生物多様性戦略を具体化

 欧州委員会は6月22日、欧州グリーンディール政策やFarm to Fork戦略に基づき、自然再生法と、2030年までに化学農薬の使用とリスクを50%削減するEU規則制定の方向性を採択した。今後、欧州議会とEU理事会との交渉に入る。

 自然再生法は、EUの2030年生物多様性戦略の実現と、第15回生物多様性条約締約国会議(CBD COP15)で採択される予定の2020年以降の国際的な生物多様性フレームワークでのEUの立場を掲げる役割を担うもの。EUの湿地、河川、森林、草原、海洋生態系、都市環境、関連する生物種の再生は、1ユーロに当たり8ユーロから38ユーロの経済価値を創出するとし、EUの食糧安全保障、気候変動レジリエンス、健康、幸福につながるとした。

【参考】【EU】欧州委、2030年生物多様性戦略を採択。2030年までに陸域・海域30%以上を保護区化(2020年5月21日)

 同法のゴールは、2050年までに欧州の生物生息地の80%の状態を再生し、森林、農地、海洋、淡水、都市の生態系まで、全ての生態系に自然を取り戻すこと。同様のEU法は今回が初。中間目標として、2030年までにEUの陸地と海域の20%以上で自然再生対象地としていくことを掲げた。

 具体的な目標も盛り込む。まず、2030年までに送粉者の減少を増加へと転換。2030年までに都市部の緑地面積の純減を防ぎ、2050年までに5%増とする。欧州の全ての都市、町、郊外で森林カバー率10%以上とし、建物やインフラと一体化した緑地面積の純増を目指す。河川では、2030年までに25,000km以上で自由に流れる河川にする。

 EU加盟国には、科学者、利害関係者、一般市民と密接に協力しながら、国家再生計画を策定することを義務化。また、ガバナンス(モニタリング、評価、計画、報告、実施)に関する具体的なルールも設けられる。農業生態系では、生物多様性の増加、泥炭地の復元と再湿地化も盛り込む。海洋では、海草や底質等の海洋生息地の再生、イルカ、サメ、海鳥等の象徴的な海洋種の生息地の再生も掲げた。

 また、農薬削減規則では、2030年までにEU全体で化学農薬の使用とリスクを50%削減し、危険な農薬の使用も削減することをゴールに、EU加盟国に目標設定義務化する。EU加盟国は化学農薬の代わりに使用する代替農薬を特定する作物別の規則も制定する義務も負う。そのため、環境を重視した代替的な害虫予防・駆除方法を化学農薬使用に先駆けて検討する総合的害虫管理(IPM)を実践していく。その一環として、農家等の商業的な農薬使用者に対する記録保存も義務化される。

 農薬では、公共公園・庭園を含む都市の緑地、運動場、学校、レクリエーションやスポーツ施設、公共道路、ナチュラ2000に基づく保護地域、絶滅の危機にある送粉者保全等で重要な地域等では、あらゆる農薬の使用が禁止される。

 農薬削減への移行に対する支援では、新たな共通農業政策(CAP)規則により、農家には5年間の移行期間中への保証を実施。また、代替農薬や精密農業の研究開発も支援する。

 食品輸入でも、世界的に送粉者を減少させているチアメトキサムとクロチアニジンの残留物を含む輸入食品は、一定の移行期間を経、EU域内では販売できなくなることも検討する。両物質はすでにEU域内で使用が禁止。国際的な禁止でもEU加盟国および第三国と近く協議を開始する。

【参照ページ】Green Deal: pioneering proposals to restore Europe's nature by 2050 and halve pesticide use by 2030

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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