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【国際】WHO、サル痘感染症で緊急事態宣言。欧州のみリスク「高」、それ以外は「中」

 世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は7月23日、サル痘の複数国発生を重く受け止め、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」を宣言した。同日開催された緊急委員会で、PHEIC宣言に関する意見が分かれたが、アドノム事務局長が最終決定した。

【参考】【国際】WHO、12ヶ国でサル痘のアウトブレイクを確認。免疫低下時には重症リスクあり(2022年5月24日)

 サル痘は、人獣共通感染症(動物媒介感染症)のサル痘ウイルスによって発生。急性皮疹、頭痛、38.5℃以上の発熱、筋肉痛、アステニア(深部脱力感)の症状を伴うことがある。1958年にデンマークの研究所で、サルから同ウイルスが最初に発見されたことに由来しており、1970年にコンゴ民主共和国で小児の感染が確認されたのが、ヒトでの最初の症例。サル痘の潜伏期間は通常6日から13日だが、5日から21日の範囲に及ぶこともあるという。

 サル痘は、ベナン、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ民主共和国、ガボン、コートジボワール、リベリア、ナイジェリア、コンゴ共和国、シエラレオネ、南スーダンでもともと流行しており、ガーナではサルの感染が確認されている。これまで非流行国での感染拡大が発生することは珍しく、WHOは極めて異例と表現。感染者1人を除き、流行国への渡航歴がなく、感染ルートがはっきりとしていない。密接な物理的接触を持つ人々の間でヒトからヒトへの感染が起きていることが示唆されるという。

 今回の発表では、2022年1月1日から2022年7月20日の間に、WHOの全6地域72カ国から14,533例の感染者が発生。死者はナイジェリアでの3名と中央アフリカでの2名)。2022年5月初めの47カ国での3,040例から増加したと強調した。特に欧州と米州に多い。

 WHOは、現在報告されているサル痘の症例の大半は男性で、ほとんどがゲイやバイセクシャル等で男性と性行為する男性(MSM)と自認する男性の間で都市部で発生していると表明。但し、西アフリカや中央アフリカの国々では、欧米とは異なる感性経路での感染拡大が確認され、女性や子供も多いという。

 数理モデルは、基本再生産数(R0)がMSM集団では1以上、その他の環境では1以下であると推定した。

 アフリカ以外の地域で発生したサル痘の臨床症状は、過去の集団発生で報告された事例とは異なり、自己限定性疾患であることが多い。一般に、性器、会陰・肛門周囲、口腔周囲に限局した発疹病変で、それ以上は発疹が広がらないことが多い。発疹の後に、しばしばリンパ節腫脹、発熱、倦怠感、病変に伴う疼痛が伴う。

 報告された症例の平均潜伏期間は7.6日から9.2日と推定。感染連鎖した一次感染者の発症から二次感染者の発症までの期間を指す「発症間隔」は平均9.8日と推定した。

 WHO事務局は、サル痘の患者数や発生国は増加しているように見えるが、WHOのリスク評価は2022年6月23日の第1回委員会以降変わっておらず、リスクは欧州地域のみが「高」、それ以外の地域は「中」とした。

 EUの欧州医薬品庁(EMA)は7月22日、デンマークのバイオ医薬品ババリアン・ノルディックが開発した天然痘ワクチンを、サル痘感染症にも使用することを承認するよう勧告。欧州委員会が近く最終決定する。

【参照ページ】Second meeting of the International Health Regulations (2005) (IHR) Emergency Committee regarding the multi-country outbreak of monkeypox
【参照ページ】Meeting highlights from the Committee for Medicinal Products for Human Use (CHMP) 18-21 July 2022 Share

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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