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【国際】UNEP FI、気候変動戦略強化で銀行の取締役会向け意思決定ガイダンス発行。ガバナンス強化

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は7月、銀行の取締役会レベルの意思決定に役立つ気候変動に関するダッシュボード作成の包括的なフレームワークと事例を含めたガイダンスを発行した。

 同ガイダンスは、UNEP FIの銀行向けTCFDワーキンググループが、世界リスク管理専門家協会(GARP)と協働し、大手金融機関50行にインタビューをして作成したもの。銀行は自社のオペレーションのレジリエンス強化とカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を達成するだけではなく、取引先を支援しネットゼロ経済への移行を支援する必要がある。そのため多面的な指標をモニタリングし、意思決定をすることが重要。今回は、考慮すべき様々な視点と関連する情報を例示した。

 欧州中央銀行(ECB)が2021年に欧州の銀行112行を評価した結果、取締役会向けのリスク報告書に気候変動と環境に関するリスクを効果的に組み込んでいる金融機関は15%未満だった。また、測定基準や目標値は金融機関の規模や地域等によって大きく異なる。そのため、気候変動に関するダッシュボードを作成するためのフレームワークを提供することで、取締役会レベルでの意思決定における不足を補うことが目的となっている。

【参考】【EU】欧州中央銀行、気候ストレステスト分析結果発表。3年間で9.7兆円の金融リスク(2022年7月10日)

 気候変動に関するダッシュボードは、「バランスシートに関する情報」「事業運営に関する情報」に分けて提案された。バランスシートの管理項目には、高リスク案件の取引レベル評価、インターナルカーボンプライシング、銀行に影響を与える可能性がある訴訟情報等を含めた。事業運営に関する情報では、自社のGHG排出量、気候変動リスクに関する研修プログラムの実施状況、従業員への報酬への反映状況が挙げられた。

 ダッシュボード作成にあたり、万能な指標は存在せず、自社の規模や目標値、融資の種類などによって指標は異なるとした。また、質の高いデータの不足や最適な指標に関するコンセンサスの不足などの課題への理解を示しつつ、銀行が果たすべき役割の達成に向けてダッシュボードによる監視は有用な手段だとの見解を示した。

【参照ページ】STEERING THE SHIP: CREATING BOARD-LEVEL CLIMATE DASHBOARDS FOR BANKS

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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