国連児童基金(UNICEF)は7月13日、若者の学習・技能習得機会の危機に関する報告書を発表。調査対象の92カ国で、15歳から24歳のうち76%が、将来の雇用に必要な職業固有のスキルを習得できずにいることがわかった。UNICEFは高い危機感を表明した。
今回の調査は、世界の若者の能力開発に関して92カ国を対象に、3歳から5歳、10歳、15歳から24歳の3つの年齢層で、過去10年分のデータを分析した。
3歳から5歳の子供では、読み書き能力と計算能力、身体能力、社会的情緒、学習能力の4つで評価したところ、72%の幼児が適切な水準を満たしていた。また男女の差はほぼなかった。一方、北マケドニア、シエラレオネ、ブルンジでは男性のほうが未発達の状況が確認された。一方、先進国の幼児は、低所得国の子供に比べ、能力開発が順調であり、貧富による格差も確認された。
10歳時点で基礎的な読解力を身に着けている子供は全体の51%。先進国の子供は90%が基礎的な読解力を身に着けているが、低所得国の子供は10%しかおらず、大きな開きが確認された。
15歳から24歳までの若者の分析では、「中等教育レベルのスキル」「探究スキル(Transferable Skills)」「デジタルスキル」「職業固有のスキル」「アントレプレナーシップ」の5つのスキルを評価。当該スキルを習得することを目指す若者の割合に応じて達成度を5段階で表した。
全体の結果として、どの項目も達成度はレベル2(35%程度)、または、レベル3(55%程度)であり、低所得国ほど達成度は低い結果だった。個別の適正水準達成割合では、「中等教育レベルのスキル」が41%、「探求スキル」が39%、「デジタルスキル」が42%、「職業固有のスキル」が26%、「アントレプレナーシップ」が34%。
日本に関しては、「中等教育レベルのスキル」「探究スキル(Transferable Skills)」「職業固有のスキル」は最高の5点だったが、「デジタルスキル」「アントレプレナーシップ」は4点にとどまった。
UNICEFは今回、評価のためのデータが揃っていないことも指摘。測定できないものは改善できないとし、発展途上国を中心にデータ取得の重要性を伝えた。また、若年者のスキル開発に大きな課題があることを示し、教育投資を抜本的に増やしてく必要性も訴えた。
【参照ページ】Around 3 in 4 youth lack skills needed for employment, new report says
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