バイオ資源R&Dプラットフォーム提供米Gingko Bioworksは7月25日、独化学大手バイエルとの間で、バイエルが米カリフォルニア州ウエストサクラメントに所有しているバイオR&Dセンターを買収する最終契約を締結したと発表した。買収金額は8,300万米ドル(約110億円)。Gingko Bioworksは2021年、SPACスキームを活用し、ニューヨーク証券取引所に上場している。
Gingko Biworksは、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究者らが、2009年に米マサチューセッツ州ボストンで創業。R&Dプラットフォームを開発する同社にとって、今回の買収は、川下のR&Dセンターを獲得する垂直統合を意味している。R&D機能も保有することで、農業、食料、医薬品分野でのバイオエコノミーのイノベーションを加速する考え。今回の発表では、バイエルのコーポレート・ベンチャーキャピタル(CVC)Leaps by Bayerと、Gingko Bioworkdsが2017年に合弁で設立したJoyn BioのR&Dプラットフォーム資産も統合する計画。
一方、バイエルは、Gingko Bioworksの顧客としてR&Dプラットフォームを活用する。特に今後3年間は戦略提携の一環として、生物学分野の研究サービスをバイエルは提供され、さらに両社の提携で開発された製品の売上に応じたロイヤリティも受け取ることができる。バイオサイエンスのR&Dは莫大な投資費が必要となることが予想されており、バイエルは、R&Dセンターを外出しすることで、コスト効率を高める狙いがあるとみられる。今後の優先研究分野は、Joynが手掛けてきた窒素固定プログラムの進展、作物保護や炭素隔離等の分野とした。
Gingko Biworksは他にも同日、水平統合として、同業の米ザイマーゲンの買収も発表した。ザイマーゲンは、既知および未知の遺伝子設計空間を探索するための機械学習やデータサイエンスのツールで強みを持つ。Gingko Bioworksは、今回の買収により、生物学資産(コードベース)とソフトウェアの双方を強化でき、同社のR&Dプラットフォームの質が大きく向上できるとしている。
Gingko Bioworksは、2021年6月から住友化学とも協業を開始している。7月18日には2件目の共同研究分野として、消費財・化粧品向けのバイオ素材開発を進めると発表している。
【参照ページ】Ginkgo and Bayer Sign Definitive Agreement to Build Agricultural Biologicals R&D Platform Capabilities
【参照ページ】Ginkgo to Acquire Zymergen
【参照ページ】Sustainable Beauty and Personal Care Products with Sumitomo Chemical
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