ロシアのプーチン大統領は8月5日、「非友好国」の投資家が、主要なエネルギープロジェクトや資源開発、戦略的企業、銀行の株式を売却することを年末まで禁止する大統領令に署名した。日本の官民が出資している石油・ガス開発プロジェクト「サハリン1」も対象。
今回の大統領令は、生産分与契約(PSA)、銀行、戦略的企業、エネルギー機器メーカー、石油・ガス生産、石炭・ニッケル等、外資大手が権益を持つプロジェクトが全て対象となった。
【参考】【アメリカ・ロシア】ゴールドマンとJPモルガン、ロシア撤退。プーチンは国有化措置で対抗(2022年3月13日)
サハリン1の出資比率は、エクソンモービル30%、サハリン石油ガス開発(SODECO)30%、インド石油天然ガス公社(ONGC)20%、ロシアのロスネフチ子会社サハリンモルネフチェガスが11.5%、ロスネフチ子会社RN-Astraが8.5%。サハリン石油ガス開発の出資構成は、経済産業相50%、伊藤忠商事約16%、石油資源開発が(JAPEX)約15%、丸紅が約12%、INPEXが約6%。エクソンモービルはすでに持分の売却作業を進めていた。
一方、今回の大統領令は例外的に石油・ガス開発プロジェクト「サハリン2」には適用されない。しかし、プーチン大統領は6月30日、事業主体を新設会社に変更し、資産をサハリン2の運営母体だったサハリン・エナジーから新会社に無償で譲渡させる大統領令に署名。8月2日、サハリン2の事業を強制的に引き継ぐ新たな運営会社サハリンスカヤ・エネルギヤを設立。さらに8月5日、サハリン2に出資しているシェル、三井物産、三菱商事の外国企業3社に対し、サハリンスカヤ・エネルギヤの持分を要求できる期間として、1ヶ月の猶予を与える大統領令にも署名している。
サハリン・エナジーの出資比率は、ガスプロムが50%+1株、シェルが27.5%-1株、三井物産が12.5%、三菱商事が10%。シェルはすでに持分の売却意向を発表済みだった。日本では、萩生田経済産業相が8月5日、三井物産と三菱商事に対し新会社への参画を前向きに検討するよう要請したことを明らかにした。さらに8月8日、日本の基本方針は権益の維持とあらためて表明した。
現在、日本政府は、ウクライナ戦争後のロシア経済制裁の一環で、サハリン1からの石油輸入を中止している。
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