大和ハウス工業は9月16日、マイホーム借り上げ事業を行う一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)と日本住宅ローン(MCJ)が共同開発した残価設定型住宅ローン「ローンのお守り」を、2022年10月1日より全国の新築戸建住宅を検討される顧客に紹介していくと発表した。定年退職後の収入減少による住宅ローンの返済不安を解消し、ライフステージに応じた住替えを可能にしていく。
国土交通省は2021年に改訂した住生活基本計画の中で、「ライフスタイルに合わせた柔軟な住み替えを可能とする既存住宅流通の活性化」に向け、「健全なリースバックの普及、リバースモーゲージや残価設定ローン等の多様な金融手法の活用を進め、住宅の資産価値の合理化・明確化を推進」すると提唱していた。大和ハウス工業はこの考えに応じた形。
具体的には、同社は、フラット35等の通常の政策型住宅ローンに、「残価買取オプション」と「返済額軽減オプション」の2つのオプションを組み合わせた「ローンのお守り」を付帯させた残価設定型住宅ローンの紹介を全国で開始する。
「残価買取オプション」は、住宅の売却時に住宅ローンの残債と同額でJTIが買い取ることを保証するもの。また、「返済額軽減オプション」は、元本返済を生前一切行わず、死亡時に担保住宅を売却して一括返済するリバースモーゲージに類似する新型のローンの形態で、JTIの買取保証を裏付けとして、元本返済額を大幅に圧縮するとともに、最終的な返済は死亡時においてJTIが原則としてローン残高で買い取るというもの。
これらの仕組みを成立させるためには、住宅が長期に渡って価値を持ち続けていく必要がある。そこで、JTIは、高い耐久性・耐震性を有し、長期にわたる維持管理体制を備える住宅に対し証明書を発行する「かせるストック証明書(定額型)」も運用。さらに、50歳以上が所有するマイホームを借上げて転貸し、安定した賃料収入を保証する制度「マイホーム借り上げ制度」を利用して実現可能な収益還元価値を査定した上で、残価設定月やその他の条件を証明する「かeせるオプション証明書(残価設定型)」も運用している。今回の制度を利用するには、双方の証明書の取得が必須となる。
同制度は、売却を希望しない場合にも、マイホーム借上げ制度を活用して、JTIが賃貸運用をするオプションが用意されていることも大きな特徴。さらに、手放す際の残余価値が期待できるため、従来マイホームを購入する財務的余裕のなかった層も、住宅を購入できるようになる。
現在、JTIの「かせるストック証明書(定額型)」では、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく基準が設定されており、具体的には構造躯体に関する「劣化対策等級」、配管耐久に関する「維持管理対策等級」、耐震構造に関する「耐震等級」のみが設定されている。しかし、国土交通省は、不動産の省エネ義務化を強化する方針を固めており、今後、JTIとしてもエネルギー関連の基準に対しても、追加されていく可能性がある。
【参照ページ】全国で残価設定型住宅ローンの紹介を開始
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