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【日本】原子力規制委、原発運転期間ルールをエネ庁所管に移管する方向を実質了承。40年ルール撤廃へ

 原子力規制委員会の山中伸介委員長は10月5日、定例記者会見の中で、これまで原子力発電の寿命を一律40年間としてきたいわゆる「40年ルール」にこだわらない姿勢を示した。原子力発電所の稼働寿命の規制は、環境省所管の原子力規制委員会ではなく、経済産業省資源ネルギー庁側で行うよう変更する首相官邸側の意向が強い。

 原子力規制委員会は、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故の後に、経済産業省所管の原子力安全・保安院が、内閣府原子力安全委員会等とともに、環境省に移管され、発足した組織。2022年9月28日に、2017年から第2代委員長を務めた日本原子力研究開発機構出身の更田豊志氏に替わり、大阪大学出身の山中伸介第3代委員長に代替わりしたばかりだった。

 今回の背景には、岸田文雄首相が進める政策がある。岸田首相は8月24日のGX実行会議の中で、「原子力についても、再稼働に向けた関係者の総力の結集、安全性の確保を大前提とした運転期間の延長など、既設原発の最大限の活用、新たな安全メカニズムを組み込んだ次世代革新炉の開発・建設」に言及し、今後の政治判断を必要とする項目として提示していた。これを受け、資源エネルギー庁は9月22日、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会を開催し、運転期間の延長に向けた検討を開始していた。

 原子力規制委員会は、今後の方針について、経済産業省に説明を要請。同日の定例会合で、経済産業省資源エネルギー庁の松山泰浩電力・ガス事業部長が、原子力発電所の運転期間に関しては、資源エネルギー庁側でルールを担当する考えを示した上で、運転期間を40年から60年に延ばす考えを表明した。

 山中伸介委員長の今回の記者会見はその定例会合後に行われた。同委員長は、原子炉等規制法の関連条文には、運転期間に対する定めと、高経年化した原子炉の安全性確認に関する定めの2つがセットになっているものの、資源エネルギー庁が今後、運転期間に関する定めを担当する法令改正を進めていくことを容認。背景としては、状況の違う原子炉を一律の運転期間で規制することは。科学的・技術的には不可能であり、同委員会としては、厳正な検査基準を設け、基準に適合している限り継続を認めることが規制として適当の考えを示した。その上で、法令改正までは、現行の法規制の中で運転期間ルールについては同委員会で運用しつつ、法令改正を進める中で、同委員会での規制体系を見直していく方針を語った。

 一方、総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会原子力小委員会で9月22日に提示された資料では、運転期間の目安を設けている国が多いことも示されており、一律の運転期間設定は難しいながらも、一定の寿命確認理解が国際的に一般的であることも伺わせる。但し同資料では目安は運転期間ではないとし、全ての国で「運転期限なし」と整理していた。

【参照ページ】原子力規制委員会記者会見録
【参照ページ】第31回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会
【参照ページ】GX実行会議

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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