戸田建設等が出資する五島フローティングウィンドファームは10月7日、「五島市沖洋上風力発電事業」の海上風車組立作業を開始したと発表した。完成すると、日本初の商用浮体式洋上風力発電所となる。
五島市沖での浮体式洋上風力発電では、戸田建設が2010年度から2015年度まで営まれていた環境省浮体式洋上風力発電実証実験として、日立製作所製2MW基1基を2013年に椛島沖に建設・運営してきた。世界初のハイブリッドスパー型と呼ばれる方式で、下部をコンクリート、上部を鋼で構成し、重心を下げることで安定性を確保した。発電した電気は、九州電力の系統に接続し、福江島等に送電されていた。浮体部は戸田建設が開発し「はえんかぜ」の愛称が付けられていた。
同発電所は2015年に崎山市沖へ移動。環境省の実証事業が終了してからは、五島市と戸田建設100%出資の五島フローティングウィンドファームが共同で運営。運転を引き継いでいた。
そこから五島フローティングウィンドファームは大きな転換期を迎える。再エネ海域利用法が制定され、洋上風力発電の長期的な用地確保の道が大きく拓けたことで、ENEOS、大阪ガス、INPEX、関西電力、中部電力の5社の出資を受け入れ、コンソーシアム型へと体制が移行。そして、再び五島市沖にあらためて日立製作所製2.1MW基を8基商用建設する計画が始まる。2022年4月には、経済産業省と国土交通省が、再エネ海域利用法に基づく海洋再生可能エネルギー発電設備整備促進区域である「長崎県五島市沖」で、五島フローティングウィンドファームが提出した公募占用計画を認定。工事が9月1日に始まった。
今回の発電所は、2024年1月に商業運転開始を予定。36円/kWhでFIT電力として九州電力に供給する。事業終了は2043年12月31日。再エネ海域利用法の占有期間は2052年4月まである。同海域では5MW基の建設も視野に入れているが、計画地は占有認定海域外。
【参照ページ】五島市沖洋上風力発電事業 海上風車組立作業を開始
【参照ページ】「長崎県五島市沖」における洋上風力発電事業について公募占用計画を認定しました
【参照ページ】長崎県五島市沖における洋上風力発電事業の概要
【参照ページ】崎山沖2MW 浮体式洋上風力発電所
【画像】戸田建設
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