米バイデン政権は10月14日、インフレ抑制法に基づく、米国の医療費抑制策を発表した。インフレ抑制法の早期廃止を掲げる共和党を意識し、社会的弱者からの政治的支持獲得を狙う。
医薬品価格の高騰や低所得者向けのアクセス課題は、米国での大きな社会問題になっている。今回の発表でも、米国市民は処方箋薬に他国より2倍から3倍の金額を支払っており、処方箋薬を服用する米国人の4人に1人は薬を買うのに苦労しているとのアンケート結果を紹介。さらに、処方箋薬を服用する米国成人の約3割が、コスト理由で服用を省略したり、錠剤の服用量を勝手に減らしたことがあると回答している。バイデン政権は9月に発表した経済政策の骨太方針の中でも処方薬のコスト削減を盛り込んでいた。
財務省は10月上旬、医療費削減のため、配偶者や子供の医療保険加入を妨げていた「ファミリー・グリッチ規則」を修正する措置を発動。これにより、約100万人の米国市民が保険加入もしくは保険料減額の恩恵を受けられるという。
また1月からは、公的医療保険メディケアの加入者には、新たな恩恵が受けられるようになる。まず、1ヶ月分のインスリンの負担上限を35米ドルに設定。パートDプランの対象となる成人向け推奨ワクチンを無料で接種できるようになる。
加えて、インフレ率より高い価格上昇を行う処方薬医薬品メーカーに対しては、メディケアにリベートを支払うことも義務付けられる。保健福祉省は、1,200品目の処方箋薬の価格が昨年1年間にインフレ率より速く上昇したとの報告書も発行済。
今回バイデン大統領は、処方薬コスト削減のための追加措置を検討するよう保健福祉省(HHS)に指示する大統領令にも署名。同省は、アフォーダブル・ケア法で創設された同省の「イノベーション・センター」の権限を活用し、処方薬コストを引下げる政策の検討を命じた。
【参照ページ】FACT SHEET: President Biden Takes Action to Lower Health Care and Prescription Drug Costs for Americans
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