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【EU】EU、努力分担規則とLULUCF規則が成立。輸送、建物、農業、軽工業、廃棄物で40%減

 EU理事会は3月28日、輸送、建物、農業、軽工業、廃棄物からの二酸化炭素排出量を2030年までに2005年比で40%削減する「努力分担規則(ESR)」と、土地利用・土地利用変化・林業(LULUCF)規則の改正を可決。欧州議会は2022年6月8日に可決しており、双方のEU規則が成立した。官報掲載後に発効する。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、海運・農業・不動産等でCO2の2030年40%減で合意。大幅引上げ(2022年11月10日)

 輸送、建物、農業、軽工業、廃棄物の5分野は、EU排出量全体の60%を占める。従来の目標では2005年比で29%減だったが、今回40%減へと大幅に引上げた上で、義務目標となった。各加盟国は、2030年までの段階目標を設定する義務も課された。5分野の業界には中小企業も多く、大きな影響が出る。設定した目標は2025年に修正することも認められている。

 各加盟国の目標では、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、ルクセンブルクは50%減。一方、ブルガリアは10%減、ルーマニアは12.7%減と幅があり、EU全体で40%削減する立て付けとなっている。

 またEU規則にもなっている「努力分担(Effort-Sharing)」制度も導入される。同制度は、設定した目標を上回る削減を達成した場合には、他国に販売することもできるというもの。売買可能量は、2021年から2025年までは年間排出割当量の10%、2026年から2030年までは同15%が上限。また、EU-ETS制度での割当分をESR制度でも例外的に利用できる制度も認めた。オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、アイルランド、マルタの9加盟国に適用される。

 ESRでは、目標を上回る削減を達成した際に、超過削減分を翌年以降に繰り越せる制度や、不足分を次年度以降から前借りできる制度も設けられている。また、ESRの達成では、各加盟国は、土地利用・土地利用変化・林業(LULUCF)セクターでの吸収量も活用可能で、考慮ルールが、今回改正が決まった「LULUCF規則」で整理されている。

 LULUCF規則では、まず、2030年のLULUCF部門の純吸収量目標を二酸化炭素量換算で310Mtと設定した。現行の目標は225Mtだが、2019年の吸収実績は249Mtと目標を達成していたため、目標を引上げた形。

 加盟国に関しては、2025年までにLULUCFセクターでの排出量を吸収量が上回る状態を実現することが義務化。2026年以降は2026年から2029年までの5年間の国別目標を定めた上で、達成が義務付けられる。2025年までの吸収超過分を2026年度以降に繰越すことはできない。

 EU理事会は同日、EU排出量取引制度(EU ETS)の市場価格介入プログラムである「市場安全準備金」を改正するEU法も可決。こちらもすでに欧州議会を通過しており、同法が成立した。今回の改正では、2023年以降は、年間の買いオペの上限が排出量全体の24%にまで引上げられた。

【参照ページ】Fit for 55 package: Council adopts regulations on effort sharing and land use and forestry sector
【参照ページ】‘Fit for 55’: Council adopts decision on market stability reserve

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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