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【国際】UNEP FI、農業と不動産の気候変動リスク一覧提示。米国では洪水保険加入が急増

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は3月23日、農業と不動産業での気候変動物理的リスクと移行リスクを整理したレポートを発表した。加盟緊急機関が作成した。UNEP FIはセクター毎に重点分野が異なることを伝えることで、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)に関する企業のアクションを促す狙い。

 今回のレポートをまとめたのは、金融大手52社が加盟しているUNEP FIのワーキンググループ。日本からは、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)とみずほフィナンシャルグループが加盟している。

 農業セクターでは、移行リスクとして、カーボンプライシング(炭素化価格制度)での価格上昇、法規制強化、カーボン集約的でないテクノロジーの進化、市場需要の変化、投資家アクションの増加、レピュテーションリスクの増加を挙げた。物理的リスクでは、旱魃・熱波、異常気象・洪水、海面上昇、森林火災、海洋酸性化、外来種を挙げた。各々についてデータ等で内容も解説した。機会については記載せず、リスクへの対策が機会になるという立場をとった。

 不動産セクターでは、移行リスクとして、法規制の強化、間接排出コストの増加、市場需要の変化、投資家のセンチメントの変化、レピュテーションリスクを挙げた。物理的リスクでは、海面上昇と沿岸洪水、内陸洪水、異常気象・暴風、森林火災、地盤沈下、熱波・水ストレスを挙げた。

 このうち不動産での洪水リスクに関しては、実際に米国で保険加入が進んでいる。全米洪水保険プログラム(NFIP)によると、米国における自然災害損害の90%は洪水によるものだが、一般的な住宅所有者向け保険や賃貸人向け保険、多くの商業用不動産保険には、洪水は補償の対象外となっており、別契約を結ばない限り、保険金が出ない損害となっていた。米国での住宅の洪水保険加入率は、全国平均で30%未満とみられている。

 一方、2017年のハリケーン・ハービーによる大災害を機に、保険会社は、これまでリスク算定が困難として避けていた洪水保険を積極的に商品化する動きを積極化。リスク算定のデータ工学が進展したことも後押しした。今では、米連邦緊急事態管理庁(FEMA)が提供する全米洪水保険プログラム(NFIP)よりも多額の保険金が出るものも多くなってきたという。

 S&P Global Market IntelligenceがまとめたNAICのデータによると、民間の洪水保険の直接収入保険料(再保険取引前の保険料)は、2020年に7億3,510万米ドルとなり、2019年の5億2,260万ドルから40%増加している。洪水保険を提供している民間保険会社も2019年には41社だったが、2020年には58社にまで増えた。

【参照ページ】Climate Risks in the Agriculture Sector
【参照ページ】Climate Risks in the Real Estate Sector
【参照ページ】Spotlight on: Flood insurance

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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