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金融情報世界大手米モーニングスターは1月11日、過去3年の株主総会シーズン期の欧米運用会社大手のESG株主提案への議決権行使を分析したレポートを発行。欧州運用会社大手が継続して指示し続けている一方、米国大手は顕著に賛成を減らしていることがわかった。
今回のレポートでは、2021年から2023年の株主総会シーズンを対象に、米国運用会社大手20社、欧州運用会社大手15社の議決権行使結果を分析。分析対象としたESG株主提案は、発行体関連の株主以外の独立株主からの賛成率が40%を超えた議案を対象とした。選定された議案数は、2021年が72、2022年が102、2023年が53。
そのうち欧州15社の賛成率は、2021年から2023年まで3年間変わらず98%だった。一方、米国20社は、2021年67%、2022年59%、2023年50%へと大きく減退した。
同社は、2023年株主シーズン期の終了直後に、ブラックロックとバンガードの米系大手2社の賛成率が大きく減少しているとの分析結果を伝えていたが、今回はそれ以外の米系大手でも減少していることが明らかとなった。2021年から2023年にかけ、減少率が大きかったのは、アメリカン・センチュリー・インベストメンツが54ポイント減(92%→38%)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(GSAM)が47ポイント減(69%→22%)、バンガードが42ポイント減(51%→9%)、キャピタル・グループが38ポイント減(68%→30%)、ブラックロックが31ポイント減(68%→37%)、ジャナス・ヘンダーソン29ポイント減(67%→38%)。
一方、賛成票を投じ続けている運用会社もわかった。モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントは2ポイント増(92%→94%)、インベスコ11ポイント増(75%→86%)、シュワブ・アセット・マネジメント15ポイント増(65%→80%)、MFSインベストメント・マネジメント5ポイント減(95%→90%)。
モーニングスターは今回、米国内で反ESG政治運動が高まっていることが、運用会社の事業遂行を複雑にしていると指摘。また、米国の運用会社の間でも議決権行使の内容に大きなばらつきがみられ、各社で反ESG政治運動への向き合い方に苦慮している状況がうかがえる。
【参照ページ】Big U.S. Fund Companies Retreat on Support for ESG Proxy Votes
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