
科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)は3月7日、2019年6月から2021年10月まで実施したキャンペーン「Business Ambition for 1.5°C」の最終評価報告書を発行した。
【参考】【国際】国際機関・NGO、企業に1.5℃目標達成に即すCO2削減目標設定を要請。Business Ambition for 1.5°C(2019年6月19日)
【参考】【国際】機関投資家137機関・2050兆円、CO2排出量多い1898社に1.5℃整合削減目標設定を要求(2020年10月13日)
Business Ambition for 1.5°Cに署名した企業は1,045社。そのうちM&Aを実施した企業や、セクター別ガイダンスの改訂が予定されている金融機関を除いた971社の状況を分析した。そのうち818社は、すでに科学的根拠に基づく削減目標の承認を取得済みから承認待ちの状態。235社は、ネットゼロ・スタンダードでの承認にもコミットしている。一方、依然として62社は音沙汰なし。
また、SBTiは、コミットメントを提出したものの、一定期間以内に目標を実際に提出しない企業について、同機関のリストで「Commitment Removed」と表記する運用を発表していたが、3月7日の時点で「Commitment Removed」となった企業が284社あった。そのうち235社はネットゼロ・スタンダードで「Commitment Removed」が、残りは短期目標で「Commitment Removed」となった。一方、「Commitment Removed」表記されている企業のうち、短期目標を設定している企業は60%ある。
【参考】【国際】SBTi、コミットメント後の目標未提出企業はリストに不名誉掲載。ウォッシュ防止(2023年8月1日)
目標承認された企業の増加率は、2020年度が98%、2021年度が92%、2022年度が102%だった。国別の承認企業数は、英国242社、米国155社、フランス49社、スウェーデン46社、ドイツ42社。
署名企業のうち239社はアンケートに回答し、そのうち71%が同キャンペーンが署名のモチベーションとなったと回答。さらにサステナビリティ・リーダーシップを示すことが署名の狙いだったと答えた企業も79%あった。署名がカーボンニュートラルに向けたアクションを促進したとの回答も72%あった。科学的根拠に基づく削減目標にコミットすることは価値があると答えた企業は96%だった。
一方、54%がスコープ3でのネットゼロ・ターゲットの設定が目標設定での障壁になっていると回答。未来の技術開発の不確実性が高すぎるとの理由も53%と高かった。目標達成の実現確率が不明を理由に上げた企業は3分の1強にとどまった。
今回の報告書を踏まえ、SBTiは、科学的根拠に基づく削減目標の重要性の認知度に改善の余地があると捉え、さらに重要性を伝えていく方向性を示した。一方、セクター毎のパスウェイが不足していることや、ガイドラインに不明瞭な点があることも課題視し、今回追加の作業を進める考えも示した。スコープ3を含めたネットゼロ・スタンダード目標設定については、バリューチェーン全体での「変革」の進め方について追加ガイダンスを出す予定。
【参照ページ】Final campaign evaluation report published
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