
国際エネルギー機関(IEA)は4月23日、世界の電気自動車(EV)市場に関する見通しを分析した報告書「Global EV Outlook」の2024年版を発表した。2013年に初版が公開、2016年からは毎年更新されており、今回で10回目となる。
2023年の世界のEV販売台数は約1,400万台となり、2022年から約35%増加した。世界の自動車販売台数のうち約18%がEVとなり、2022年の14%のシェアから増加した。
2024年の世界のEV販売台数は約1,700万台となる見通しであり、2023年から21%増加すると予測。2024年の第1四半期の販売台数は既に2023年の同時期と比較して約25%増加し、前年とほぼ同等の成長率を維持している。 国別では、中国におけるEV販売台数は約1,000万台となり、自動車販売台数全体の約45%を占める見通しであり、欧州では約25%、米国では約11%となる予測した。
(出所)IEA
2023年のEV販売台数の国別シェアは、中国が60%、欧州が25%、米国が10%。3つの地域で全体の95%を占める。一方、新興国でのEV販売台数は、ベトナムでは全自動車販売台数のうち15%、タイでは10%と2023年に成長が加速した。EV購入やバッテリー製造に関する補助金等の政策が各国で展開されていることから各地域でより成長する可能性を示唆した。
IEAのNZE2050シナリオでは、2035年には世界で新車販売される自動車はすべてEVとなる予測であり、各国が現在発表している政策が実現されれば、約3分の2がEVとなる見通し。同報告書では、EVの急速な普及に向けた重要なポイントとして価格を挙げた。
中国で2023年に販売されたEVの60%以上が内燃機関車両よりも安価に購入できるようになったが、欧州と米国ではEVの平均購入価格は、内燃機関自動車の平均購入価格よりも10%から50%程度高い。今後市場競争の激化とバッテリー技術の向上により、価格は低下していき、2030年には中国以外の市場でも内燃機関自動車と同等の価格水準になると報告した。
(出所)IEA
また、充電設備がある施設数がEV販売台数に追いつくことの重要性も指摘。2023年に設置された公共充電施設数は、2022年と比較して40%増加し、特に急速充電器の設置が進んだ。しかし各国の政策が実現した場合、充電施設数は2035年までに6倍に増加させる必要があり、充電による電力需要の増加を含めた電力網を構築しなければならないため、政策による支援と計画性が重要だとした。
IEAは同報告書の発表と同時に、世界のEVに関する統計データや予測、政策に関する情報を閲覧できる「Global EV Data Explorer」「 Global EV Policy Explorer」のツールをアップデートした。
【参照ページ】The world’s electric car fleet continues to grow strongly, with 2024 sales set to reach 17 million
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら