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米ドナルド・トランプ大統領は2月6日、国際刑事裁判所(ICC)職員、代理人、その近親者の米国内の資産凍結、取引禁止、米国への入国禁止できる大統領令に署名した。具体的な制裁対象者指定は現段階で不明。また本人への事前通知なくいつでも指定できる。ICCを牽制する措置とみられる。
今回の措置は、ICCがイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアヴ・ギャラント前国防相に逮捕状を発行していることを批判したもの。ICCのカリム・カーン主任検察官は2024年5月、ネタニヤフ首相、ギャラント前国防相、ハマス最高指導者ヤヒヤ・シンワル氏ら計5人に対して逮捕状を請求すると発表し、実際にICCは2024年11月、ネタニヤフ首相とギャラント前国防相に逮捕状を発行している。
ICCによるイスラエル首相等への逮捕状発行に関しては、前バイデン政権も批判する立場をとっており、ICCには両氏に逮捕状を発行する管轄権がないと主張していた。管轄権とは、裁判所が当該裁判を扱う権限のことを指し、ICCに関して、ICCローマ規程の中で、「締約国が事態をICC検察官に付託した場合」「国連安全保障理事会が事態をICC検察官に付託した場合」「検察官が自己の発意により予備的検討を行った後、予審裁判部が捜査開始を許可した場合」の場合にのみ管轄権を有すると規定。さらに、犯罪の実行地国が締約国、犯罪の被疑者が締約国の国籍を有する者、非締約国が裁判所の管轄権の行使を受諾の3つのいずれかに限り管轄権を持つと定められている。また、ICCは、集団殺害犯罪(ジェノサイド)、人道に対する犯罪、戦争犯罪、侵略犯罪の4つの犯罪を裁く権限がある。
ICCは、今回の逮捕状発行に際し、ICC締約国のパレスチナがパレスチナ情勢を2018年5月にICCに付託していることを理由とし管轄権があると判断。罪は、パレスチナにおける「戦争犯罪」としていた。一方、米国政府は、パレスチナは主権国家ではなく、ICC締約国になる資格がないため、ICC検察官への付託は無効と主張している。ちなみに、日本の外務省は、パレスチナをICC締約国として扱っている。
今回、トランプ大統領は、前バイデン政権のICC批判をエスカレートさせ、経済制裁を発動することを宣言した。権限としては、国際緊急経済権限法(IEEPA)、国家緊急事態法(NEA)、1952年移民国籍法、合衆国法典第3編第301条を含む合衆国憲法及び米国法に基づく大統領権を行使したと説明している。
同大統領令では、米国もイスラエルもICC非加盟のため、非加盟国の個人に対してICC管轄権は及ばないと主張。米軍人、米政府高官、特定の同盟国の政府高官と軍人を、ICCによる刑事訴追から保護するとしている。
【参照ページ】IMPOSING SANCTIONS ON THE INTERNATIONAL CRIMINAL COURT
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