小泉進次郎環境相は2月25日、首相が議長を務め内閣官房に設置された「経協インフラ戦略会議」が2018年6月に採択した「インフラシステム輸出戦略(平成30年度改訂版)」で規定されている石炭火力発電の海外輸出に関する4要件について、見直しに向け関係省庁との間で議論し、6月末までに方向性について結論を出すことで合意したと発表した。小泉環境相は「脱炭素化に向けた一歩」と表現した。
今回の案件は、小泉環境相が1月、日本の官民が投融資する形で建設計画が進めているベトナムの「ブンアン2石炭火力発電事業」について、4要件に違反しており問題があると批判したことで風穴が空いた。
4要件とは、「石炭をエネルギー源として選択せざるを得ないような国に限る」「日本の高効率石炭火力発電への要請」「相手国のエネルギー政策や気候変動対策と整合的」「原則USC(超々臨界圧)以上」を示す。ブンアン2では、日本が投融資しつつも、発電設備は中国製となることが内定しており、2番目の「日本の高効率石炭火力発電への要請」に違反していた。
今回の発表は、ブンアン2が4要件違反して関係省庁との間で合意がとれたというものではなかったが、日本の高効率石炭火力発電を海外輸出できる規定そのものがおかしいとする小泉環境相の立場を反映し、4要件そのものを見直すことが決まったという。石炭火力発電について海外からの批判を浴びる日本政府がこのタイミングで見直すということは、厳しくなる方向へ動くと見るのが普通。
今後のスケジュールでは、6月末までに方向性を決め、12月の「インフラシステム輸出戦略」の改訂時に正式に盛り込む見通し。今後、経済産業省、財務省、環境省との間で改訂への綱引きが始まる。今回の決定により、来年度に予定しているエネルギー基本計画に影響を及ぼす可能性もある。
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