国連食糧農業機関(FAO)は2月22日、農家への支払をデジタル決済で行う回数を今後2年間で1.5倍にまで引き上げる新たなプログラムを発表した。現在国連では国連資本開発基金(UNCDF)がデジタル決済サービスを普及させる「Better Than Cash Alliance」を運営しており、今回FAOも同イニシアチブに加盟した。
Better Than Cash Allianceは、国際機関、政府当局、企業の76機関が現在加盟。発展途上国でのインクルーシブな発展と貧困削減を実現することを狙い、デジタル決済サービスの恩恵に預かれる人を増やすプログラム。決済や預金の透明化にも繋げられるため、発展途上国では現金よりもデジタル決済のほうが扱いやすいと考えている。
FAOは現在、58ヶ国で1,900万人に資金やバウチャーを発行しているが、2019年だけで給付した総額5,000万米ドル(約54億円)のうち、29ヶ国280人に対して給付した2,500万米ドル強の資金については、すでにデジタル給付を実施している。さらに2020年3月から新型コロナウイルス・パンデミックの緊急援助として、3,810万米ドルを18.7万世帯に支給したが、例えばモザンビークではデジタル給付した。 現金給付が権力者や権威に裏付けらた給付プログラムとなるのに対し、直接対象者一人ひとりに発給できるデジタル給付は、特に若者や女性の支持が高い。デジタル給付は、発展途上国の市民のITリテラシーを高める効果もあり、実際にコロナ禍では、デジタル化のメリットに関する認知が拡大しているという。
【参照ページ】FAO pledges to scale up direct use of digital financial transfers